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2020.7.13

ほんの一瞬の人生だからこそ

曹洞宗徳雄山建功寺住職、枡野俊明氏の心に響く言葉より…

日本人は「平均」とか、「横並び」といった言葉が好きなようです。

なんでも他人と同じくらいであれば安心するわけです。

雑誌などではよく、平均給与とか平均的なマイホーム取得年齢、平均的な結婚費用、同葬儀費用といったものを取り上げた特集記事が掲載されますが、そうしたものも日本人気質を見抜いたテーマ設定だといえるでしょう。

余談ですが、ずいぶん前に流行ったビートたけしさんの「赤信号、みんなでわたれば、怖くない」というギャグも、日本人の横並び好きを痛切に皮肉ったものだ、という見方ができます。

平均と自分を弾き比べて、上ならばほっと胸をなで下ろしたり、少々、誇らしい気分になったり、下の場合は不安になったり、焦りを感じたりする、というわけです。

しかし、そもそも平均を意識することになにか意味があるでしょうか?

横並びの人生なんてこの世にありえないのです。

人はこの世に生を受け、死んであの世におもむきます。

人生というその時間を、それぞれが自分の歩幅で歩んでいく…。

そこに「平均」などはありません。

禅語に「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」というものがあります。

人は本来、いっさいのものを持たない、まったくの空(くう)、絶対的な無の存在である、ということです。

ですから、心に塵(ちり)やホコリが積もることもないし、煩悩(ぼんのう)もないし、悟りというものもないと、この禅語は教えています。

「体露金風(たいろきんぷう)」という禅語もあります。

「体露」とは生まれたままの姿のこと。

「金風」とは、気持ちのいい秋風のことです。

見栄や分別、欲を捨てて、生まれたままの赤ん坊のような気持ちでいれば、清々しく生きられると、この禅語はいっています。

人生ということに引き寄せていえば、なにも持たない裸で生まれてきて、やはり、なにも携えずに死んでいくのが人の人生というものなのだ、ということ。

「人生は、手ぶらで生きて、手ぶらで死ぬのがいい」

ということです。

給料が平均より上だ下だ、といっても、そんなことは無に始まり、無に終わる人生の、小さな一局面、些細な断面でしかないのです。

平均をはるかに超えたとしても、平均に遠くおよばなくても、それが自分の歩幅であり、そこでしか、たしかな人生の足跡を刻むことはできないのです。

その足跡の連なりが人生です。

ですから、誰一人として同じ人生を歩むことはありません。

人の数だけ人生があるのです。

そのことに早く気づいてください。

すると、「平均」を目安にすること、それを意識することの無意味さがわかってきます。

「災難に逢うとき時節には、災難に逢うがよく候」

良寛さんの言葉です。

災難に遭遇して、「おい、おい、こんな災難に逢うなんて、平均的な人生からいったら、割が合わないじゃないか」などと嘆いていたってしかたがないのです。

災難には正面から向き合うしかないのですし、その災難の中に自分の足跡を残していく以外にはないのです。

それがほかの誰でもない、あなたの人生を丹念に歩むということだ、と思います。

『競争からちょっと離れると、人生はうまくいく (単行本)』三笠書房


浜松医科大学名誉教授の高田明和氏が「魂をゆさぶる禅の名言」(双葉社)の中でこんなエピソードを紹介している。

『 朝比奈宗源(あさひなそうげん)老師の知り合いの僧がある寺に住持していました。

彼は博打(ばくち)が好きで、村の人の集まりで博打をやって負けて帰ってくると、 「あいつもやがて死ぬやっちゃ」と独り言をいっていたということです。』

もちろん、宗源老師は、博打好きな僧に、「死んでしまえ」と願って言ったわけではない。

あきらめたり、捨て鉢で言っているのでもない。

諦観という、澄んだ気持ちで、物事の本質をとらえ、悟りのような境地で発した言葉だ。

「しかたのないやっちゃ」と。

どんな大悪人も、小悪人も、ウソつきも、大ぼら吹きも、嫌なやつも、そして善人も、すべて、「あいつもやがて死ぬやっちゃ」。

メチャクチャにひどいことを言われようが、ひどい仕打ちを受けようが、やがてみんな死んでしまう。

城山三郎氏の小説の中にこんな言葉がある。

「一期(いちご)の盛衰(せいすい)、一杯の酒』(本当に生きた日)

英雄の興亡盛衰の重さも、一杯の酒のうまさに叶わない。

チンギスハンも、ナポレオンも、信長も、秀吉も…。

まさに、「人生は、ただ一場の夢」のようなもの。

「裸にて生まれてきたに何不足」

ほんの一瞬の人生だからこそ、大切に生き抜きたい。



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