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2017.9.20

遺伝子のスイッチをONにするには


筑波大学名誉教授、村上和雄氏の心に響く言葉より…

人間の能力は遺伝子でみるかぎり、だれもが似たようなものです。

遺伝子というのはいろいろなデザインが可能な素材のようなもので、それをどう組み合わせていくかは、その人の自由にまかされている。

肝心なことは遺伝子のON/OFFということ。

能力や才能について考えるとき、こういう考え方をしたらよいと思います。

人間は非常に多くの可能性をもっていますが、その可能性の扉を開くカギの一つが潜在意識だと思います。

その証(あかし)として潜在能力というものが想定されています。

潜在能力は潜在意識によって導き出される。

その能力は限界が容易に見極められないくらい大きい。

問題はそれをどうやって導き出すかです。

従来の潜在意識論ではそれを引っ張り出す方法として、大きく二つの場合を想定しました。

一つは心の持ち方です。

あることの実現を願ってひたすら心に念じると潜在意識に刻印され、自然にその目的に近づく行動をとるようになる。

自然にその目的に近づく行動をとるようになる、その力はとてつもなく大きい、ということです。

もう一つは外界の変化。

たとえば火事になれば人は思いもよらない力を出す。

これは環境の変化に対する瞬間の適応行動で、実は人はだれでもこうした適応能力を秘めている、というものです。

だが潜在意識論では能力(エネルギー)の所在がはっきりせず、観念論として受け取らざるをえなかった。

また潜在能力というものに疑いの目を向ける人もいましたが、それは従来の潜在意識論がこの疑問に科学的にきちんと答えられなかったからです。

だがこれに遺伝子のON/OFFを当てはめると、才能や能力の所在が非常にはっきりしてきます。

「潜在意識にはたらきかける」とは、実は遺伝子にはたらきかけることであり、心をコントロールすることによって眠れる遺伝子を起こす、あるいは起きている困った遺伝子を眠らせることができるということです。


伸びる人と伸びない人の問題も、この観点からみるとよくわかってきます。

要するに伸びる人とは眠れるよい遺伝子を呼び起こすことがうまく、それが下手な人は能力や才能をもちながらも伸び切れないということです。

では具体的にどんなタイプが伸びるタイプなのか。

次にいくつかの条件をあげてみましょう。

伸びるタイプの条件の第一は「物事に熱中できる」ということです。

何かに取り組んだら脇目もふらずに熱中する。

まわりがどうあれおかまいなしで、自分のしていることしか考えない。

そういうひたむきさのある人間は伸びられる人です。

それから持続性のある人。

いくら熱中しても、それが続かないとなかなか成就までは行き着かない。

寝ても覚めても、そのことを思い続ける持続性のある人が伸びられるタイプです。

天才はパッとひらめいたというエピソードがよくありますが、「寝ても覚めても」が前提にあってはじめてひらめきが起こる。

これが第二の条件になります。

第三は、常識にしばられない自由闊達(かったつ)さをもつこと。

この点に関しては江崎玲於奈先生が大変興味深い指摘をしておられます。

江崎先生はご承知のようにエサキダイオードでノーベル物理学賞を受賞されていますが、独創的な研究開発を進めるカギとして「自由闊達さ」ということをあげておられる。

これは「素人発想」と一脈通じるものがあります。

端的にいってしまえば、何ものにも規制されない自由な発想ということで、それは子供の感覚に似ているといってもよいかもしれません。

私たちは大人になるにつれて、さまざまな知識を身につけますが、それはほとんど常識と呼ばれる範囲にとどまるもので、それでは遺伝子は目覚めない。

『人生の暗号 (サンマーク文庫)』


村上氏は、同書の中でこう語る。

『マズローという心理学者が人間の可能性を阻害する要因として、

1. いたずらに安定を求める気持ち

2. つらいことを避けようとする態度

3. 現状維持の気持ち

4. 勇気の欠如

5. 本能的欲求の抑制

6. 成長への意欲の欠如

の6つをあげています。

この6つの項目は、遺伝子ONを阻害する条件と考えてもさしつかえないでしょう』

遺伝子にスイッチが入らない状態というのは、要するに、感性が眠っている状態といってもいい。

感性が眠っていたり、摩耗したりしていると、発奮したり、感動したり、熱く燃えたり、熱中したりすることはなくなる。

ワクワクドキドキや、喜怒哀楽がなくなり、分別くさくなって、頭だけで考えて、結局、行動しなくなる。

自在に、遺伝子のスイッチをONにできる人でありたい。


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