2020.7.16 |
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新しい日本のカタチを考える |
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河合雅司(まさし)氏の心に響く言葉より…
日本の「未来」はどうなっていくのでしょうか?
いつも人々の目は将来を見つめています。
人生の残り時間が長い若い人ほど、期待とともに不安も大きいことでしょう。
2020年代がスタートしましたが、それは新型コロナウィルスの世界的感染という手荒い幕開けとなりました。
感染症というのはいずれ完全終息の時を迎えますが、世界経済の深い傷は簡単には癒えないでしょう。
今、日本列島で生きるわれわれが最も関心を向けるべきは、日本社会を根底から揺るがす人口減少問題です。
コロナ禍で大きなダメージを受けた日本社会にも容赦なく襲い掛かります。
「コロナ後」の社会の復興も、人口減少の影響を十分踏まえなければ失敗するでしょう。
しかも、コロナ禍を含めた多くの課題は対策を講じさえすればいつかは解決しますが、人口減少は結婚や出産といった人々の価値観に根差す構造上の問題であるため、政策では克服し得ません。
われわれは、過去の日本人が経験をしたことのない急速な社会の縮小を目の当たりにすることになります。
過去の常識は通用せず、成功モデルが役に立たない時代が到来したと認識する必要があります。
単に人数が減るだけではありません。
短期間のうちに年齢構成が極めていびつになります。
すでに人手不足が深刻化していますが、働き手世代の不足は行政サービスまで滞らせるかもしれません。
同時に高齢者はまだまだ増えます。
しかもひとり暮らしが増大していきます。
民家が点在する地方などでは、“買い物難民”や“通院難民”が社会問題になるでしょう。
そして、本書にはこんな未来年表が書いてあった。
2021年 介護離職が増え始める
毎年10万人ほどが介護離職しているが、人口の多い団塊ジュニア世代が50代になり始め、団塊世代の介護のために離職者が急速に増えることが懸念される。
2022年 高齢者のひとり暮らしが本格化
団塊世代の先頭である1947年生まれが75歳となる。
2023年 企業の人件費がピークを迎える
人数の多い団塊ジュニア世代の多くが一般的に賃金のピークとされる50代前半となる年。
2024年 6人に1人が75歳以上。「超・高齢者大国」に
この年には団塊世代のすべてが75歳以上となり、国民の6人に1人が75歳以上となる。
2025年 65歳以上の5人に1人が認知症となる
内閣府の高齢社会白書によれば、この年の65歳以上の認知症患者は730万人。
2060年には1154万人と3人に1人に。
2028年 トラックドライバー不足で荷物が届かなくなる
2030年 地方から百貨店や銀行が消える
2033年 4軒に1軒が空き家となる
2035年 「未婚大国・日本」が誕生
2039年 深刻な火葬場不足。死亡数がピークを迎える
2040年 自治体職員の不足で行政サービスが滞る
2042年 高齢者人口が約4000万人でピークに
2045年 東京都民の3人に1人は高齢者
2050年 行き詰る地方自治体が増える
2056年 人手不足が深刻化。成り立たなくなる業種も
2059年 70代は「若者」として一線で活躍
『「2020」後―新しい日本の話をしよう』講談社
河合氏は、都道府県の人口減少についてこう語る。
『まず近い未来、2025年まで見ても、47都道府県のなかで人口が増えるのは東京都と沖縄県だけ。
2045年の時点で、減少率がもっとも大きいのは秋田県。
2015年と比べて41.2%も減る予想となっている。
次いで青森県(37.0%減)、山形県と高知県(31.6%減)、福島県(31.9%減)岩手県(30.9%減)と、3割以上激減する県は東北地方に多い」
わずか30年でこれだけ人がいなくなり、しかも所得の少ない高齢者が多数を占めるのだから、税収が大幅に減る自治体は、現状の水準の行政サービスを提供するのが難しくなる。
実数に注目してみると、2045年に最も人口が少ないと予想されるのは、鳥取県で44万8529人。
高知県も50万人を下回る。
島根県、徳島県、山梨県も60万人未満となり、1つの都市規模の少なさとなる。』
つまり、県の人口単位が、今の政令都市(人口50万以上で、20市188区)より少なくなるということだ。
当然、今まで通りの行政サービスはできなくなる。
市町村の運営も同じで、立ち行かなくなるところが爆発的に増えてくる。
コロナ禍も大きな問題だが、10年、20年と長い目でみたとき、もっと問題になるのがこの人口問題だ。
学校教育、職業選択、消滅する仕事、高齢者問題、等々問題は山積している。
しかし、それらの問題も、見方を変えればチャンスと捉えることができる人もいる。
どんな現象も、見方しだい、考え方次第だからだ。
人口減少することを前提に…
新しい日本のカタチを考えてみたい。 |
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