2020.7.7 |
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努力や、時間の使い方、工夫を褒める |
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脳科学者、中野信子氏の心に響く言葉より…
◎「頭がいい」と褒められた子どもは、実際に悪い成績をとると、無力感にとらわれやすくなる。
◎難しい問題に取り組む際、歯が立たないと「頭がいい」という外部からの評価と矛盾する。このとき、やる気をなくしやすい。
◎「頭がいい」という評価を失いたくないために、確実に成功できるタスクばかりを選択し、失敗を恐れる気持ちが強くなる。
たしかに褒める教育で育てられたはずの若い世代は、もっと自信を持って積極的に困難に挑戦する人が出てきてもよさそうなものなのに、かえって慎重になり、上のどの世代よりも保守的になっているように見えることすらあります。
海外に出ることを好まず、リスクが高いので恋人もつくらない、経済的な不確実性を抱えることになるので結婚にも消極的である、といった傾向が強まっていることを指摘する声もしばしば耳にします。
一方で、「努力のかいがあったね」と褒められたグループの子どもたちでは、ふたつの課題を選択させる場面でやさしい課題を選択した子の割合が10%でした。
またそれに続く課題でも難しい問題を面白がり、家に持ち帰ってやりたがり、最後の課題では、どのグループの子たちよりも多くの問題を解いたのです。
ほめ方には注意が必要で、その子のもともとの性質ではなく、その努力や時間の使い方、工夫に着目して評価することが、挑戦することを厭(いと)わない心を育て、望ましい結果を引き出す、と研究チームは結論づけています。
『空気を読む脳 (講談社+α新書)』
本書の前段にはこんな文章がある。
大半の子どもができないような難しい問題を、家に持ちかえってやる気があるかどうかを尋ねるという実験があった。
「頭がいいね」と褒められたグループでは、課題が楽しくないと答える子どもが多く、家で続きをやろうとする子どもの割合も少なかった。
さらに、この難しい課題での自分の成績をみんなの前で発表させたところ、「頭がいい」と褒められたグループの子どもの約40%が、本当の自分の成績より良い点数を報告したのです。
つまり、4割の子どもが自分をよく見せようとしてウソをついていたということです。
実験者のミューラーとデュエックは、それについてこんな見解を示している。
◎「頭がいい」と褒められた子どもは、自分は頑張らなくてもよくできるはずだと思うようになり、必要な努力をしようとしなくなる。
◎「ほんとうの自分は『頭がいい』わけではないが、周囲には『頭がいい』と思わせなければならない」と思い込む。
◎「頭がいい」という評価から得られるメリットを維持するため、ウソをつくことに抵抗がなくなる。
中野氏も指摘しているが、頭がいいとかエリートだと言われて育ってきた人たちは、ある場面で平気でウソをつくことがある。
政治家や官僚、学者、あるいは経営者の世界でも、頻繁に起きている事象だ。
自分の価値を下げないため、あるいは自分を守るための行動だ。
しかし、ウソはいつかバレ、秘密は露見する。
教育は大事だ。
「頭がいい」と褒めるのではなく…
「努力や時間の使い方、工夫を褒める」
難しい問題にチャレンジし、面白がる人でありたい。 |
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