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2020.6.23

型破りな人

早稲田大学教授、内田和成氏の心に響く言葉より…

われわれはいま新型コロナウイルスの感染拡大の危機を経て、さらに強いリーダーシップが求められるステージに立っています。

それは「変革のリーダー」です。

そして、変革のリーダーになるためには、これまで常識とされてきた殻を打ち破り、新しいやり方を生み出していかなければなりません。

そのためにも、たくさんの経験を積んでおく必要があります。

これまでのやり方にとらわれない新機軸を打ち立てるためには、既存のやり方を知り尽くしておかなければならないのです。

たとえば、日本の伝統芸術である歌舞伎には、演者の動き方や芝居の演出方法など、これまで長い年月をかけて磨き上げられてきた「型」があります。

その歌舞伎をさらに大勢の人に知ってもらおうと新たな演出を取り入れたり、海外で上演したりするなど、さまざまなチャレンジをしてきた歌舞伎役者の中村勘三郎さん(いまの6代目中村勘九郎さんのお父さん)は生前、テレビ番組のインタビューでこんなことをおっしゃっていました。

これまでの「型」を熟知し、きちんと習得した人が、従来の型にとらわれない新機軸を打ち出して新しいことに挑戦する。

これが「型破り」だと。

一方で、型をきちんと習得せず、何も知らずにやるのは、「型無し」あるいは「破れかぶれ」です。

変革も同じです。

破れかぶれではダメ、型破りでなければなりません。

「自分を知る」ということは「型におさまる」ということではありません。

多くのチャレンジを通じて、リーダーシップの幅を広げていく。

そうすることで、型破りを起こして、変革期にも通用する、よいリーダーになれると思います。

『リーダーの戦い方 最強の経営者は「自分解」で勝負する (日本経済新聞出版)』


内田氏は運についてこう語る。

『成功と失敗は常に紙一重です。

したがって、最後の決め手となる運は、ただそれを大切にすればよいというものではありません。

常に自ら引き寄せようとする努力、つかみ取ろうとする努力が必要です。

こうした努力も、魅力的なリーダーになるために必要不可欠な条件です。

また、運は人生にとっても大切です。

私はできるだけ、運のよい人と付き合うようにしたいと考えています。

そうすることで、仕事がスムーズに運んだり、うまくいったりする可能性が高くなるからです。

ほとんどの場合、運のよい人は、忙しい人です。

これは「バンドワゴン効果」によるものでしょう。

バンドワゴン効果とは、「パレードの先頭を走る楽隊車(バンドワゴン)に乗りたい」「皆が持っているから私も欲しい」「流行に乗り遅れたくない」といった、多数派の意見を重視する心理的な効果です。

運のよい人や仕事ができる人には、人も仕事も集まってきます。』

「型破りな人」のことを「破天荒な人」ともいう。

「天荒」とは、未開の地、あるいは雑草などの生い茂る荒れ地のことをいう。

中国の唐の時代、荊州(けいしゅう)という地方から、史上初めて官吏登用試験である科挙に受かった者がいた。

そこで人々は「天荒」を破ったということで、「破天荒」という言葉が生まれた。

また、「型破り」とは「守破離(しゅはり)」のことだ。

「守」とは、師の教えや型を忠実に守り、身につけること。

「破」とは、師匠だけでなく他流派の教えも受けたりして、自分に合った型を模索し、さらに研鑽すること。

「離」とは、一つの流派から離れ、自分独自の流派を打ち立てること。

型破りな人、破天荒な人のまわりには人が集まる。

人をひきつける「魅力」があるからだ。

魅力ある人は運も引き寄せる。

型破りな人には限りない魅力がある。



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