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2020.6.13

能力ではなくて人格を磨く

藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…

平澤興氏(京大元総長・故人)より、こんな話を聞いたことがある。

野口英世が麻痺狂病原体を発見したときの話である。

彼は麻痺狂の脳について、一万枚の顕微鏡標本を作った。

二百枚を一組として五十組の標本である。

これを二人の助手と片っぱしから、検査した。

しかし、最後の一組になっても、めざす病原体は見つからなかった。

彼は二人の助手が昼のうちに検査したが無駄に終わったという最後の一組の標本を家に持ち帰り、夜を徹して検鏡した。

そして、明け方になって、ついに九千九百九十五枚目の標本に、探す病原体を見出した。

その瞬間、野口英世はカッポレを踊り出し、見ていた妻は野口の気がふれたのではないかと思ったという。

一万枚の標本を仮に作っても、普通の人なら、五、六千も標本を見て、探すものがなければ、それであきらめてしまう。

野口は文字通り、最後まで一枚もゆるがせにせず、検査した。

野口の一念一行のすさまじさを物語るエピソードである。

一念一行…一念を持ち、それを実現すべくひたすらに行じ続ける。

別に、大きなことでなくていい。

その持続は、人生に確かな花を咲かせてくれることは事実である。

『小さな人生論 (小さな人生論シリーズ)』致知出版社


『ある日、エジソンは彼のもっとも有名な発明である白熱電球について、若い記者からこんな質問を受けた。

「電球を完成させるのに、1年以上も実験し、5000回も失敗したそうですが、そのときはどういうお気持ちでしたか?」

エジソンは記者の顔を見て、こう答えた。

「5000回も失敗した?そんなことはないよ。うまくいかない5000通りの方法を発見するのに成功したんだからね」

エジソンは、失敗を成功への布石と考えて努力を重ねた。

週に100時間以上も働き、世界史上もっとも多くの発明をし、生涯に1000を超える特許を取得したことで知られている。

また、19世紀末に設立したエジソン電気照明会社は、ゼネラルエレクトリック(GE)という世界最大の総合電機メーカーにまで発展した。

自信を持ち続けるうえでもっとも重要なことは、失敗を前向きにとらえることだ。

失敗したからといって失敗者ではない。

失敗の代償とは、成功の価値を理解するための「授業料」なのだ。』(自分を磨く方法・ディスカヴァー)より

トーマス・エジソンはこんなことも言っている。

「私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ」

たいてい、我々は何度か失敗するとすぐにあきらめてしまう。

また、この同じ失敗が続くのか、と暗澹(あんたん)たる気持ちになるからだ。

本当は、もう一回チャレンジすれば勝利の美酒が味わえるかもしれないのに。

「一念」とは、深く心に思うことであり、一筋にそのことを思い続けること。

「一行」とは、ひたすら行うこと。一事に専心すること。

一念を持ち、それを実現すべくひたすらに行じ続けること。

一生をかけて…

一念を、行じ続けたい。



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