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2020.6.10

凡を極める

ジョン・C・マクスウェル氏の心に響く言葉より…

大学では、先生が学生がお互いによく知り合うように、よく性格検査や適性検査、自己評価アンケートを行った。

いまでもはっきり覚えているのは、授業が始まって数週間目に受けたさまざまな能力を測定する適性検査だ。

一番点の高かった項目がなんだったかは忘れてしまったが、一番低かったのは忘れもしない、創造性だった。

そのような結果を気にする学生は少なかったようだが、私は落ち込んだ。

創造性は大切だと思っていたし、将来の仕事のためにどうしても必要だったからだ。

その頃、私は聖職者になろうと考えていた。

聖職者になれば、書き物をすることも多く、週に2〜3回は信徒を前に話をしなければいけない。

しかも、そういう生活が40年間は続くのである。

創造性のかけらもない人の話を毎週聞かされる人の身にもなってほしい。

まったく、たまったものではない!

それでも、仕事を変えようとは思わなかった。

私の牧師になりたいという決意は固かった。

生まれつき創造性に恵まれていのなら、他の人たちの創造的なアイデアを発掘しようと私は考えた。

自分でアイデアを生み出すより、アイデアを収集するほうが簡単だ。

なにしろ偉大なる発明家トーマス・エジソンも、「オリジナリティとはアイデアの出所を隠す技だ」と言っているではないか。

それ以来35年間、私は来る日も来る日も名著を読みあさり、偉大なアイデアを集め、テーマ別にファイルしてきた。

おかげで、本を執筆するときに適当な引用句や逸話、記事などが必要になると、そういうときのためにファイルしておいた素晴らしい素材をすぐに見つけ出すことができる。

こうした習慣は、講演や本の執筆に非常に役に立っている。

ロザベス・モス・カンター博士は、「人の一歩先を行くには、次のアイデアを舞台の袖で待たせておけ」と言ったが、私の場合、アイデアはファイルの中にある。

そして私はあることを発見した。

常に創造的なアイデアはないかと目を光らせていると、自分自身も創造的な考え方ができるようになるのである。

『すごい「考える力」! (知的生きかた文庫)』


「学ぶ」の語源は、「まねぶ(真似ぶ)」と「まねる(真似る)」の2つあるという。

「まねぶ」も「まねる」も模倣することだ。

子どもは、親を真似することによって、言語や表情を身につける。

佐々木常夫氏は、「プアなイノベーションより、優れたイミテーションを」と言う。

なまなかな創造性を発揮するより、他を圧倒するようなイミテーションのほうがよほど優れているということ。

本や人の話の引用も、長い年月続ければ、それはやがてその人独自の味のあるものとなってくる。

才能がないならないなりに、凡人には凡人の生き方がある。

それが、「凡を極めて、非凡に至る」ということ。

創造性がないと嘆くのではなく…

凡を極めて、非凡に至る人でありたい。



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