2020.6.3 |
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心中にあるものは表に現れる |
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川上哲治氏の心に響く言葉より…
監督ともなれば、やはり、模範を示さなくてはいけないんです。
自分が言ったことに対しては、同じように自分も実行していく。
しかし、やることが選手と違いますから、それを自分の職責の中でやっていくわけです。
選手に「徹底してやれ」と言えば、自分は徹底して監督としての仕事をやっていく。
やっている仕事そのものは違っても、それに徹底してやっていくという、「やることそのもの」は同じでなくてはいかんわけです。
選手と一緒にやれることもあります。
例えば門限を守るとか、あるいはこういうことをしろ、ということがあるでしょう。
これは、監督でもちゃんと守らなくてはいけない。
それでは、選手が自分の時間に、酒を飲まないとか、門限を守る、などというような申し合わせたこともちゃんと守っているかどうかを見定めるのには、どうするか。
人間というものは、心の内にあるものは外へ出るということがある。
だから、選手より先にグラウンドへ行って待っている。
ナイターの場合は、「こんにちは」といって選手が4時頃入ってきますから、その時の言葉の勢いと言いますか、態度というものを見とると分かります。
「こんにちは!」と、言葉の勢いのある奴は、やる気があるわけです。
ところが同じ人間でも、きのうのゲームで失敗した選手は、私の顔を見たら、力なく「こんにちは…」と、こう言いますよ。
ということは、「とても今日は使ってくれないんじゃないか、監督は何を思っているのかな…」というふうな気持ちで、「こんにちは…」と、声に張りがない。
「きょうは、あのピッチャーが出るだろうから、オレは出番があるな」という一軍半ぐらいの左に強い右バッターは「オレを使ってくれるかもわからんな」という気持ちで来るでしょう。
力強く「こんにちは!」と来ますよ、パッと。
その言葉には力があります。
《心中にあるものは表に現れる》
『勝機は心眼にあり―球禅一如の野球道』ベースボールマガジン社
心配事がある人は、声に張りがない。
そして、表情が暗く、どうしてもネガティブな言葉になってしまう。
反対に、いいことがあった人は、はずむような明るい声になる。
そして、ニコニコして、元気で勢いのあるポジティブな言葉を使う。
萩本欽一氏はそれを「笑い」が遠くなる三点セットという。
「顔が怖い」、「セリフが怖い」、「音程が低い」の三つだ。
怖い顔は、「不機嫌」、「怒りっぽい」、「イライラしている」という愛敬がなかったり、笑顔がない顔。
セリフが怖いとは、相手を「冷やす言葉」、「盛り下げる言葉」という、愛のない冷たい言葉だ。
音程が低いとは、相手を脅すような、苦虫をかみつぶしたような、ドスのきいたような低い音程のことをいう。
ということは、この「遠くなる三点セット」の反対をやれば、笑いがとれ、周りも明るく元気になるということ。
挨拶ひとつ、返事ひとつで、自分の心の中はわかってしまう。
いつも笑顔で、愛のある温かい言葉を使い、明るいトーンで話をする人でありたい。 |
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