2020.5.23 |
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「好き」の設計図 |
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関野吉記氏の心に響く言葉より…
インターネットの普及やデジタル化の進展で、どの分野でも日々イノベーションが起こり、新しい製品が毎日のように市場に投入される。
どんなにいいものをつくっても、すぐに陳腐化し、飽きられてしまう。
こういう厳しい環境で企業が生き残っていくには武器がいる。
私の考える、最も有効で強力な武器、それがブランド力だ。
アップルやBMWやルイ・ヴィトンのように、魅力的なブランドイメージが世間に認知され、ファンを獲得してしまえば、製品についているロゴを見ただけで、「わくわくさせてくれる製品に違いない」「値段にふさわしい価値があるはずだ」と、人々は勝手に想像してくれるのだから、これが武器でなくて何だというのだ。
現在、世界のどの企業も、消費者を惹きつけるブランドイメージの構築にことのほか力を入れているのは、そのためなのである。
ブランディングの究極の目的は、相手に「好き」になってもらうことである。
これがどんなに難しいかは、わが身を振り返れば、誰でも心当たりのひとつや二つはあるだろう。
人の心は思い通りにはならない。
それゆえ、好きな異性の心をいかにして射止めるかは、古今東西の小説のテーマにもなっているのだ。
この通りにすれば、いとも簡単に相手を振り向かせることができるという公式がないことは、みんな知っている。
それなのに、企業のブランディングは、公式を知っている専門家に任せれば大丈夫というのは、どう考えても理屈が通らない。
『「好き」の設計図 ~企業ブランディングの本質~』クロスメディア・パブリッシング
本書のあとがきにこんなことが書いてある。
『誰が想像しただろう。
南海キャンディーズ・山里亮太と蒼井優の電撃婚の話である。
山里といえば、赤メガネと自虐キャラがトレードマークの、自他ともに認めるブサイク非モテ芸人。
女性スキャンダルとはこれまでもこらからも無縁、だったはずだ。
一方の蒼井優は、映画・舞台・ドラマなどで活躍中の、いわずと知れた実力派女優。
この二人が恋に落ち、結婚するなんて、どう考えてあり得ない。
もちろん私もそう思っていた。
しばらくするとテレビのコメンテーターたちは、次のようなことを語り始めた。
山里の身長は178センチメートルと意外に高い。
山里は関西大学文学部教育学部卒業の高学歴。
山里はテレビのレギュラー番組を10本以上持つ超売れっ子で、かなり稼いでいる。
バラエティ番組の司会もできれば、政治も語れる。
映画の声優もこなすし、本も出版し文才にも恵まれている。
だが、こういう分析にはほとんど意味がない。
人はスペックで人を好きになるわけではないからだ。
あの男性はどこの会社に勤めていて、年収はどれくらいで、どんな車に乗っていて、趣味は何で…。
そういうことは、その男性を恋愛対象として意識するようになって、初めて気になってくるのである。
スペックがきっかけでそこからおつき合いが始まるのは、見合いや婚活パーティくらいだろう。
蒼井優はもともと、山里の相方の山崎静代の友人だった。
それで、たまたま3人で食事をしたところ、山里と意気投合し、そこから交際に発展していったという。
山里は最初のコンタクトで、自分という人間を意識させ、興味を持たせることに成功した。
それが情熱なのか、誠意なのか、トークの技術なのか、私にはよくわからない。
ひとつだけ確信を持っていえるのは、そこで山里が差し出した身上書を見て、蒼井優がこの人とつき合いたい、結婚したいと思ったわけではないということだ。
多くの企業は、手の込んだつくりの会社案内や情報の詰まったウェブサイトなど、さまざまなPRのツールをすでに持っている。
なるほど、これらをじっくり読みさえすれば、その企業のあらかたのことは、たしかにわかるだろう。
これを読めば誰だって、わが社は信用できる会社だと納得するだろう。
入社したり投資したりしたいと思わないはずがない。
だが、ちょっと待ってほしい。
誰がいったいこの分厚い冊子や、何度もクリックが必要なウェブサイトを、時間をかけて読んでくれるというのだ。
先ほどの、南海キャンディーズの山里亮太の例を思い出して欲しい。
結婚相手としていくら申し分ない条件を備えていたとしても、それで女性が振り向いてくれるわけではない。
もしそうなら今回、蒼井優と結婚する以前から山里は、「アンアン」の結婚したい男性ランキングの上位に、毎年のように名前が挙がっていなければおかしいではないか。
好きになったら、その相手の情報をもっと知りたくなる。
しかし、好きでもない相手のことは、わざわざ調べようとは思わない。
これは、個人も企業もまったく一緒なのである。
まずは、意中の相手にどうしたら自分の会社を好きになってもらえるかを考える。
これこそが、ブランディングの一丁目一番地であり、最も時間をかけて検討しなければいけない課題なのだ。
これをせず、外面だけをどんなにピカピカに磨いたとしても、そんなブランディングはうまくいかない。
繰り返すが、重要なのは「条件やスペックで好きになってくれるのではない」という点だ。
裏を返せば、現時点では同業他社より売上や会社の規模で劣っていたとしても、やりようによっては多くの「好き」を集めることも可能なのだ。
そして、それこそが、ブランディングの力なのである。』(ゆほびかGOLD vol.32 幸せなお金持ちになる本)より
斎藤一人さんは、「好き」と「嫌い」についてこう語る。
『人間というのは、嫌いな人のところへは行かない、ということを加味しておかなきゃならないんです。
好きな人のところへ行って、好きなものを買う。
商売というのは好き嫌いなんです。
ただ一点、好きか嫌いか。
わかるかい?人に嫌われたら、終わりなんです。
世の中に、お客さんに嫌われて繁盛するものはないんです。
逆に、お客さんに好かれて繁盛しないものもないんです。
だから、正しいことをするのはあたりまえで、あとは、お客さんに好かれるかどうか。
商売が成功するかどうかは、この好かれるかどうかにかかっているんです。』
人から好かれる人は、「もらうより与える」「人の話をよく聞く」「愛ある言葉を使う」「愛嬌(あいきょう)がある」「笑顔がある」「機嫌がいい」「自分ではなく、人にスポットライトを当てる」「俺が俺がではなく、おかげさまの気持ちがある」「偉そうにしない」「謙虚」…
これらは会社でいうなら、「誠意がある」「誠実である」「責任感がある」「優しさがある」「情熱がある」「努力している」「従業員やお客様を大切にしている」「おかげさまや感謝の気持ちがある」…
つまり、好かれるポイントは、人も会社もまったく同じ。
いくらスペックを高めても、好きになる人はいない。
人から好かれる人や会社でありたい。 |
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