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2020.4.26

困難なときこそプラス発想を

筑波大学名誉教授、村上和雄氏の心に響く言葉より…

ものごとが順調に進んでいるときには、私たちは自然にプラス発想をしていますから、あまり問題はない。

反対に、きびしい局面に立たされたとき、困難に遭遇したとき、窮地(きゅうち)におちいったとき、そうした状況でもどれだけプラス発想ができるかが重要になってきます。

連想ゲームではないけれど、いったん好ましくない状況にはまると、発想はどんどん悪いほうに悪いほうにと傾いていくものです。

わかっているけれども、プラス発想がなかなかできにくいことは、誰もが一度や二度は経験しているところでしょう。

しかし、「おれはダメだ」とみずからを卑下(ひげ)したり、否定したりしている研究者は、けっしていい仕事をしていません。

最近はダメを前提に生きている人が多いような気がしますが、本当は、そういうときこそプラス発想が必要であって、うまく運んでいるときは、あえてプラス発想など考える必要はありません。

私自身の経験からも、長いあいだ研究をやっていると、苦しい場面に遭遇することがよくあります。

「もうダメかな」と、絶望的な気持ちに襲われそうになることもめずらしくありません。

そういうとき、どれだけへこたれないで、プラス発想を維持できるかが問われるところです。

これにはコツがあります。

ものごとには二面性があります。

どんな出来事も、「よいほう」と「悪い方」の二つの解釈が可能です。

たとえば、病気にかかった場合、仕事ができなくなったり、金銭的に負担が増えたりと、マイナス面ばかりを考えて、くよくよしてしまいますが、病気をした経験によって、誰が自分にとって本当に大事な人なのかに気づくこともあります。

病院のベッドの上で、仕事にかまけてるときには思いもつかなかったアイディアが浮かんだりすることもあります。

大病が人生をプラスの方向に変えたという話は、いろいろなところで耳にします。

つまり、悪いと思われる出来事にもいい面もあるということを再認識し、そちらのほうを一心に求めることです。

世の中の合理性だけに目を向けていると、ものごとの半分しか見えません。

合理性を超えるとは、非合理の世界に足を踏み入れることではなく、現代の常識や科学の力ではまだ解明されていないものも視野に入れて考え、判断するという意味です。

そういう見方ができれば、たとえおぼろげではあっても、全体像をつかめるようになります。

プラス発想とは、そうした広い視野をつかむ手段でもあるのです。

『生命のバカ力 (講談社+α新書)』


多くの人が参っているこのコロナ禍の時代は、どんな問いかけを自分自身にするかによって、生き方が変わる。

「なぜ、自分ばかりがこんな目にあうのだろうか」とか、「このままやっていけるのだろうか」という問いかけを自分にしたら、不安は増すばかりだ。

しかし、反対に、「この状況の中でプラスの材料は何だろう」とか、「この状況から学ぶことは何だろう」という問いかけをしたら、ポジティブな面に焦点があたる。

不安な人はヒマにまかせて不安なネタばかりを探すが、ポジティブな人は新しいことや、普段できないことにチャレンジしているから、いつも忙しく動いている。

疫病神や貧乏神はヒマな人に憑(つ)き、運やツキの神様は常に何かに目いっぱいチャレンジしている人に憑く。

人の真価は逆境や困難なときにあらわれる。

不機嫌になって、不平不満や文句や愚痴をこぼすのか、決してへこたれず今生きていることに感謝しながら、自分にできる最大限の努力をニコニコしながら楽しそうにしているのか。

困難なときこそプラス発想で乗り切りたい。



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