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2020.3.23

よき言葉を「口ぐせ」とする

筑波大学名誉教授、村上和雄氏の心に響く言葉より…

あなたは「良くない口ぐせ」を無意識にしていないでしょうか。

良くない口ぐせとは、否定的な言葉、ネガティブな言葉です。

「疲れた」「面白くない」「お金がない」「時間がない」「忙しい」「つまらない」…。

このような言葉を使っているようでしたら、すぐに使うのをやめるべきです。

なぜなら、祈りの効果を期待する以前に、こうしたネガティブな言葉も「祈り」と同じように実現されてしまうからです。

身近な人たちを思い出してみてください。

いつも「忙しい、忙しい」と言っている人は、本当に、あわただしく過ごしていませんか?

「大変だ、大変だ」と言う人は、なぜかいつもトラブルに巻き込まれてばかりいませんか?

「お金がない」が口ぐせの人は、同様にいつも金欠に悩まされていませんか?

日本には「言霊(ことだま)」という言葉があります。

言霊とは、言葉に宿る神霊のことで、言葉の不思議な働きのことをいいます。

古来から、日本人は、言葉の持つ働きを信じ、さらにはそれらを大切にしてきました。

「ありがとう」と言えば「ありがとう」と感謝したくなるような世界が現れ、「ばかやろう」と言えば「ばかやろう」と怒りたくなる世界が現れる。

言葉には世界を創造する働きがある、ということを昔から日本人は感じ、それを信じて生きてきたのです。

それは、まるで「言葉にも遺伝子がある」かのようです。

人間が不健康な生活や放射線などの影響で、遺伝子が傷つき、病気を引き起こすことがあるように、ネガティブな言葉もまた、それを使い続けることで、自分にマイナスの影響を与えます。

どんなに一生懸命祈っていても、一方でネガティブな口ぐせを持っていたら、その口ぐせの世界も同時に「祈っている」ことになってしまうのです。

花瓶に生けた花の水の交換や手入れをするときに「キレイだね、素敵だね」と話しかけると花が長持ちする、というような話を聞いたことはないでしょうか?

ある女性のボーイフレンドは、その女性の部屋に遊びに来るたびに、その部屋にあった観葉植物に対し、

「これは育てるのが大変なんだよ。すぐにダメになってしまうんだから」

と言い続けていたのだそうです。

すると、青々とした葉が茂っていた植物だったのに、みるみるうちに元気がなくなり、根ぐされしてしまったそうです。

実は、その観葉植物は彼女の母親が贈ってくれたもので、彼女の実家にも一緒に買った、同じ種類の鉢がありました。

しかし、そちらの鉢は、イキイキ、ピンピンと元気に葉を茂らせたままだったのです。

植物の手入れの方法は母親から教わっていたので、彼女は実家と同じように育てていたそうです。

唯一の違いは、ボーイフレンドがかける言葉だけでした。

このボーイフレンドの「すぐにダメになってしまう」という言葉は、それを聞いていた彼女にも影響していたようで、二人の関係もダメになってしまったといいます。

こんなふうに、自分が発するネガティブな言葉によって、せっかくの祈りをだいなしにしないためにも、口ぐせはすぐにあらためることが大事です。

日本の復興を願うのであれば、「先が見えない」「時間がかかることだ」「そう簡単にはできないことだ」といった発言にも意識的に注意を払いましょう。

それよりも、最初はなんの根拠もなくて構いませんから、周りの人を「なんだか、一緒にいると元気になれる」と思わせるくらい、楽天的に「どうにかなる」と、ただひたすらアホのように祈り、行動してみてください。

そうやって、前向きな空気をつくりだすことで「もしかしたら」が「これならできる」という空気に変わり、結果として復興を支援することにもつながるからです。

『奇跡を呼ぶ100万回の祈り』ソフトバンククリエイティブ


この本は、2011年に起きた東日本大震災のために書かれたものだ。

現在、世界各地で、コロナウイルスによる被害が拡大している。

今まさに、2011年の大震災と同じような状況が世界各地で起きているといってもいい。

ある評論家は対案も出さず、「このコロナウイルスによって日本はダメになる、もっとひどい状態になる」といって不安を煽(あお)る。

またある人は、「近い将来、このコロナウイルスはなんとかなる、日本は大丈夫」という。

日本はダメになる、もっとひどい状態になるという評論家は、自分の名誉のため、知らず知らずに「日本が駄目になり、もっとひどい状態になる」ことを願ってしまっている。

なぜなら、その未来予測が当たってくれなくては自分評判が落ち、今後の商売に差し障るからだ。

この世がダメになって欲しい、みんなが困って欲しいと願う者を、西洋では「サタン」や「デーモン」といい、仏教では「悪鬼羅刹(あっきらせつ)」(人に悪いことをする化け物・魔物)という。

「悲観的に準備し、楽観的に対処せよ」

という瀬島龍三の言葉がある。

戦時中の日本の参謀であり、戦後は伊藤忠商事の会長として世界規模の総合商社に発展させ、その後、中曽根康弘元首相の顧問などの要職に就任し、「昭和の名参謀」と呼ばれた人だ。

名経営者や名リーダーは、最悪の事態を想定してあらゆる準備をする。

そして、準備をしたのちは、どんなときも笑顔とユーモアを忘れず、楽観的に生きる。

楽観的とは、安岡正篤師のいう「心中に喜神(きしん)を含む」ということ。

『喜神の神とは神社仏閣に祀ってある神ではなく、精神の神(しん)、つまり心の最も奥深い部分を指す言葉だ。

従って喜神を含むとは、どういう立場に立たされようと、それに心を乱されることなく、心の奥深い部分にいつも喜びの気持ちを抱いてことに当たれば、どんな運勢でも開けないものはなく、上昇気流に乗ったように開けていくという意味』(下座に生きる)より

「言葉には世界を創造する働きがある 」

明るくて、元気が出て、楽観的で、前向きな…

よき言葉を「口ぐせ」とする人でありたい。



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