2020.3.14 |
|
シェアしたがる心理 |
|
天野彬(あきら)氏の心に響く言葉より…
SNSは私たちの情報行動、ライフスタイル、そして価値観までも一変させてしまった。
そのSNS上でのコミュニケーションが写真や動画中心になってきている。
本書は、それをビジュアルコミュニケーションの実践と捉えつつ、ユーザーの情報行動がどう変わっているのか、そして「シェア」がいかに重要になっているのかを筆者が携わった調査結果をベースに論じるものだ。
本書はビジュアルコミュニケーションについての書籍だから、この言葉をはじめに定義しておく必要がある。
一般的には文字やサイン、標識のようなものも含む広義の意味にわたるが、本書ではこの言葉を「スマートフォンのアプリケーション」を通じた「写真や動画などによる意思疎通のやりとり」と定義的に捉えている。
ある説によれば、文字に比べ、写真は7倍もの情報を伝えられるという。
視覚中心の情報のやりとりを行う現在のウェブにおいては、通信環境の向上と共にこうした伝達方法(=ビジュアルコミュニケーション)が選択されるのは自然なことだと言えるかもしれない。
さらに、もう一つの視点として、本書が注目するのは「発信する生活者」としてのスマホユーザーの姿だ。
コンテンツとしての写真や動画を見るといったものだけでなく、スマホを片手に自分の写真や動画を撮ってはシェアする…そんなユーザー同士のコミュニケーションをここでは念頭に置いている。
繁華街を歩けば、オシャレなカフェに立ち寄れば、観光地に赴けば、そんな生活者の姿であふれている。
現代では、誰もがシェアするような瞬間を探しながら生きているといっても過言ではないのだ。
コミュニケーションには意思や目的が伴う。
もちろん意図せざる結果を招くこともつきものだが、やはりそこには事前に想定された目的などがある。
「シェアしたがる心理」とは、まさにこの論点を深堀していくために冠されたものである。
そして、そのシェアを促すようなSNS上の情報環境の特性を考察していく。
そのポイントの一つとしても挙げられている「ググるからタグるへ」は特別に大切なキーワードという位置づけだ。
情報行動のかたちがいわゆる検索エンジンで探すことでけでなく、ハッシュタグをユーザー同士でつけてシェアしたコンテンツをSNSの中で探すように変化していることを示している。
ハッシュタグをつけてコンテンツをシェアすること、そして「手繰る」ように情報を集めていくことをいう二つの言葉をかけた造語が「タグる」。
SNSにおけるシェア文化を考えるうえで欠かせない視点となる。
『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』宣伝会議
天野氏は本書の中でこう語る。
『スマホの普及は、その世代の多くがカメラと高度なネットワーク接続端末をつねに持ち歩くようになったことを意味している。
SNS上でも、文字中心のコミュニケーションが減少し、ビジュアル中心のコミュニケーションが盛んになっていく、一つの変曲点となった。
いわば、スマホの普及率の上昇という量的な変化が、私たちのコミュニケーションのモードのビジュアル中心へのシフトという質的な変化を生み出したのだ。
特に若年女性についてはフェイスブック、ツイッターなどユーザー数の多い基底的なSNSももちろんアカウントを所持し使っているが、使う時間や熱意を見ると、インスタグラムやスノーなどビジュアルコミュニケーションのためのアプリにどんどんシフトしてきている。
キーボードで文字を打つ代わりに、私たちはカメラを向けて目の前の現象を切り取り、記録し、加工して遊びながら、シェアするようになっている。』
『自慢はそれが承認されることによってこそ中毒的な快感を生む。
その快感は私たち一人ひとりのアイデンティティを刺激するのだ。
私たちのシェアしたがる心理には、SNSでのいいね!やコメントなどインタラクションをたくさん引き起こしてくれる「SNS映え」の要素が深く関係している。』
インタラクションとは、英語の inter(相互に)とaction(作用)を合成したもので、アクションとリアクションが起こることで、一方通行ではない双方向の状態をいう。
今までのテレビやラジオといったメディアは、ほとんどが一方通行だ。
しかし、SNSはインタラクティブで、対話するような感じだ。
だから、最近はビジネスでも、メールではなく、チャットの方が多く使われる。
そしてメールは文章が中心だが、チャットでは映像が多用される。
文章にしたら長くなってしまう説明も、画像を送れば一発で分かる、なんていうことが多い。
現在、SNSには自慢や承認欲求が横行している。
そして、それを見て、嫉妬したり、うらやましがったりする人も多いのも事実だ。
現代の大きな流れ…
シェアしたがる心理を今一度、正しく学びたい。 |
|
|