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2020.3.12

「畳み人」という選択

幻冬舎「あたらしい経済」編集長、設楽悠介(したらゆうすけ)氏の心に響く言葉より…

ビジネスにおいて「突飛なアイデア」という大風呂敷を広げる経営者やリーダーを「広げ人」と仮に定義するならば、僕が本書で定義したい「畳(たた)み人」は、仕事のアイデアを形にし、着実に実行に移す仕事人のことです。

リーダーに対する「名参謀」や「右腕」のような存在と言ってもいいでしょう。

広げ人が仕事のアイデアをゼロから生み出す「0→1の人」だとすれば、畳み人はその1を10にも100にもする仕事です。

会社のポジションで言うと、CEOが広げ人でCOO(Chief Operating Officer)が畳み人、また会社内の新規事業であれば、プロジェクトリーダーが広げ人で、それをサポートして現場メンバーとリーダーをつなぐNo.2のポジションが「畳み人」というイメージです。

前日本代表・長谷部誠選手や現日本代表の柴崎岳選手を想像していただけるとわかりやすいかと思います。

具体的には社長やプロジェクトリーダーである広げ人の一番近くで一緒にアイデアを組み立て、実行するためのあらゆる戦略を練り、チームを組成し育て、社内外の根回しもして、その事業全体を牽引し成功に導くのが畳み人の役割です。

世間的には「アイデアを生み出した人がすばらしい」と、広げ人ばかり評価される風潮もありますが、僕はアイデアを生み出した人と同じくらい、いやそれ以上にアイデアをきちんと実行させる畳み人をすばらしいと考えています。

有名なアメリカの経営学者であるピーター・ドラッカーもこう言っています。

“Strategy is a commodity, execution is an art.”

(戦略はコモディティであり、実行こそアートである)

仕事においてアイデアや戦略は消費されるコモディティ(日用品)のようなものですが、それを実行することはアートのように価値があるとドラッカーは言っているのです。

この言葉を借りると、本来の意味で仕事の真価が問われるのは、「アイデアや戦略をいかに実現するか」ということ。

アイデアは実行されてこそ意味を持ち、ビジネスでの大きなポイントになるのです。

そういう意味でもアイデアを実行に移す「畳み人」は、ビジネスにおいて欠かせない存在であると言えます。

また、そのビジネスを「畳む技術」も、多くの現場において欠くことのできない重要なスキルなのです。

畳む技術を身につけることは、バランスのいい仕事の筋力を作ること。

筋力があれば長い人生、仕事を行ううえで、多くのチャンスが舞い込みます。

『「畳み人」という選択 「本当にやりたいこと」ができるようになる働き方の教科書』プレジデント社


「畳み人」は大風呂敷を広げたようなビジネスアイデアを、きちんとした形に畳める人というたとえを基にした造語だという。

実際、どんなにいいアイデアがあっても、それを実行に移さない限りそれは「絵に描いた餅」になってしまう。

だからこそ、実行力が問われる。

著者の設楽氏は、元々、就職や転職などの人材情報サービス大手のマイナビに在籍していて、個人的にも副業としてウェブデザインなどをやっていたという。

それが、幻冬舎に転職したときに役立った。

当時、すべての業務でデジタル化が遅れていた幻冬舎に入り、その技を生かしたところ、徐々に認められキャリアアップした。

リーダーや社長は時として大風呂敷を広げる。

だが、それを実行する人材がいないところでは、そのアイデアは永久に日の目を見ない。

そのアイデアを実行するときに必要なのが、今の組織にはない技術や、仕組みや、テクニックだ。

外部の会社からしたら当たり前のような、ちょっとした仕組みやテクニックがわかっただけで、プロジェクトが大きく進む、なんてことはざらにある。

自分が今持っていないスキルや知識を、身につけることはとても大事だ。

それは、たとえば人から頼まれてやった新しいことや、無茶振りされた難しい仕事の経験によって得られる。

今の自分の仕事を深めることが大事なことは言うまでもないが、しかしそればかりだと、新たな発想も生まれないし、自らの新しい世界も広がらない。

「戦略はコモディティであり、実行こそアートである」

「畳み人」という技を身につけたい。



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