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2020.3.9

困難が大きいからこそ生きがいがある

松下幸之助氏の心に響く言葉より…

これまでの歴史の中で、困難な時代というのは幾度もあったろう。

しかし、ある意味では今日ほど、むずかしい、たいへんな時代はないのではなかろうか。

大国といわず小国といわず、先進国といわず新興国といわず、ほとんどの国が、いろいろなかたちで政情不安に悩まされている。

しかも、昔であればそういうことも一つの地域、一つの国という狭い範囲にとどまりえたが、現在では、あらゆることが瞬時にして世界のすみずみにまで伝わり、それが影響しあって、お互いの不安を高め、動揺を大きくする。

まことにかつてない非常時であり、動乱期だといってよいであろう。

だから、今日に生きるわれわれは文字どおり一寸先は闇とでもいう状態である。

平穏無事の世の中なら、安心してそれぞれの仕事に専心し、自分の畑だけを耕していればそれでいい。

ところが、社会の姿がこのように流動し、変転きわまりなくては、せっかくの自分の働きなり努力も十分な成果を生みえないかもしれないし、その成果すらも一瞬にして無に帰しかねない。

考えてみれば、実に頼りないというか心もとない気がする。

こういう状況では、だれしも不安を感じ、動揺するのは一面当然すぎるほど当然である。

だが、しかし、ここで考え方を変えてみたい。

“こんな時代に生まれあわせたことはまことに幸せではないか”と。

困難であり、不安定な時代である。

それだけにこれと対決し、事をなしてゆくということは、非常にむずかしいけれども、それはまた実におもしろい、やりがいのあることではないだろうか。

見方によっては、われわれは今、千載一遇(せんざいいちぐう)の好機に恵まれている。

困難が多いからこそまことに生きがいのある時代なのだ。

そういうところに思いを定めて、これに対処してゆくことが大切なのはないだろうか。

『[新装版]思うまま』PHP


これは昭和46年(1971年)に書かれた本だ。

今から約50年前。

日本経済は戦後最大の波乱にみまわれたという。

まさに、今も、このコロナショックで、このままいくと日本経済は、リーマンショックどころではない戦後最大の未曽有の危機になるかもしれない。

なぜならこれは、日本一国のことではなく、ほぼ例外なく世界中の国々に蔓延し、それが経済に影響を及ぼしているからだ。

これこそ、まさに「国難」と言っていい。

国難とは国家全体が受ける危難のことをいうが、会社経営においても、これほど困難で、厳しい時はない。

しかし、これを困難と捉えるか、好機と捉えるか。

まさに松下翁のいう、「われわれは今、千載一遇の好機に恵まれている」と捉えることができるのか。

我々の先人たちは幾多の大きな困難を乗り越えてきた。

だからこそ、今、我々が乗り越えられないはずがない。

「困難が多いからこそまことに生きがいのある時代」、と思える人でありたい。



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