2020.1.9 |
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結局うまくいくのは、礼儀正しい人である |
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P・M・フォルニ氏の心に響く言葉より…
《自分は誰かと親しいと感じている人は健康になりやすい。病気になる危険性は著しく低く、病気になったとしても、生存の確率はきわめて高い》(ディーン・オーニッシュ・医学博士)
1950年代初期、ハーバード大学で行われたある研究で、健康な若い男子学生2クラスを対象にアンケートで両親との仲を調べました。
35年後、彼らの医療記録を調べたところ、両親と仲がよくないと答えた学生の100%が心臓病や十二指腸潰瘍など、重い病気と診断されていました。
一方、両親と良好で温かい関係を維持していた学生では、そうした疾病にかかったのは47%でした。
1965年、心身医療分野のパイオニアであるリサ・パークマン博士の研究では、カリフォルニア州アラメダ郡の男女数千人の社会的結びつき(配偶者の有無、交流関係、教会への参加など)を記録し、9年後に、この回答者の健康状況を調べました。
その結果、孤独な生活をしていた回答者の死亡率は1.9から3.1倍も高かったのです。
その後も数年間にわってさまざまな調査が行われ、社会的結びつきの欠如は健康に著しいリスクとなることが判明しています。
オハイオ州立大学のジャニス・キーコルト・グレイザー博士は「別居または離婚した男性は、結婚している男性とくらべて健康ではない」という研究結果を発表しました。
また、結婚生活が安泰でない男性は、免疫系が弱いことも発見しました。
夫と妻の対立は、明らかに健康に悪影響をおよぼします。
さらに別の研究では、結婚して数十年になる夫婦を調査したところ、ひんぱんに口論する夫婦は、口論の少ない夫婦とくらべて、免疫系が弱いことがわかりました。
こうした研究からわかるように、健康でいるためには、他者とつながる必要があります。
他人と交流する能力は、まちがいなく健康を左右します。
つまり、礼節を守るのは気分がよくなるからだけでなく、健康のためでもあるのです。
言ってしまえば、人を大事にすることは自分を大事にすることなのです。
また、健康でいるためには、人生に目的や意味を感じられなくてはなりません。
そして、人生の目的や意味は、必ず他者の存在と結びついています。
やはり、身のまわりにいる人を敬意と配慮をこめて大切に扱うことが重要になるというわけです。
特に人生の後半戦には、人間関係の力が大きな支えとなります。
仕事をしているあいだは、好むと好まざるとにかかわらず、多くの人とつき合わざるを得ません。
けれど仕事が生活の中心でなくなると、仕事の縁だけでつき合っていた人は去っていきます。
しかし、あなたがやさしさと心くばりのできる人間なら、仕事をやめても一緒にいたいと思ってもらえるでしょう。
気づかいや思いやりの輪が続けば、それはお互いにとってよいことなのです。
だからこそ、やはり礼節を学ぶ必要があります。
学べば学ほど、礼節は利他主義と利己主義の自然な共存状態を生み出すということが、はっきりとわかってくるでしょう。
『CHOOSE CIVILITY 結局うまくいくのは、礼儀正しい人であるる』ディスカヴァー
P・M・フォルニ氏は本書のなかで礼節についてこう語っている。
『人生は他者とのふれあいによって決まるもの…私はそう信じています。
よい人間関係に恵まれれば、人生は輝きます。
人間関係が損なわれると、人生も損なわれます。
幸せになりたいなら、他者とともによく生きる方法を学ばなければなりません。
そのカギを握るのが「礼節」なのです。
礼儀正しくしていれば、他者とうまくふれあうことができます。
私たちは礼節ある生き方をすることによって、思慮深い心を育て、自己表現とコミュニケーションの力を伸ばし、さまざまな状況におだやかに対応できるようになります。
人はばらばらに孤立して存在しているのではなく、他者とのふれあいの中で生きるものです。
ふれあいの中で自分のアイデンティを認識します。
生きるというのは、人とかかわっていくことなのです。』
2011年3月11日に発生した「東日本大震災」。
海外の人々が賞賛し、驚きの声を上げたのが、消息を絶った家族を探しながら、生活必需品が届くのをじっと待ち、配給品に列をつくり、それでも、冷静さを失わない日本人の姿だった。
そこには、略奪や暴動の素振りもなく、「助け合い」、「礼儀正しさ」、「秩序正しさ」があったからだ。
真に礼儀正しいかどうか、人に優しいかどうかは、事態が絶望的な状況になったときにわかる。
切羽詰まったときに人の本性が出るからだ。
真の礼儀正しさを身につけたい。 |
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