2019.12.22 |
|
ピンチに強い人 |
|
本田健氏の心に響く言葉より…
ある中堅事務機メーカーで、大きな問題が発生しました。
出荷する直前の商品説明書に、大きな印刷ミスが見つかったのです。
説明書自体を作り直している時間はなく、部分的にシールを貼って対応することになりました。
しかし、商品を管理する部署の人員が少なくて、とても間に合いそうにありません。
そのとき、営業部の一人の課長が外に出ていた部下たちを呼び戻し、シール貼りの仕事を分担させました。
この対応が実に見事で、その課長は上層部からも部下たちからも高い信頼を得ることになったそうです。
このように、ふだんはあまり目立たなくても、ピンチになると存在感を見せる人がいます。
ピンチを鮮やかに処理できる人は周囲から尊敬され、大きな仕事をまかされるようになります。
逆に、ピンチから逃げてしまう人は運も逃げてしまうのです。
では、ピンチに強い人は、そうでない人とどこが違うのでしょう。
おそらくピンチに強い人は、「緊急モード」への切り替えが上手なのです。
どんな人であっても人生には幾度かのピンチが訪れます。
でも、たいていの場合、それは予告なくやってきます。
私たちが油断してのんびりしているときに限って、やってくるのです。
そんなときに、パッと切り替えて、そのピンチに全力で向き合えるかどうかが重要なのですが、企業のトップであっても、あるいは一国のトップであっても、これができない人もいます。
たとえば、大きな災害が起きたときに、ゴルフをしていて、途中でやめずに、最後までラウンドしていた、などと批判される政治家がいます。
ちょうどそのとき、休暇でゴルフに行っていたのはしかたのないことですが、そこで瞬時に切り替えられず、ぼーとしている印象を与えてしまったことで、信頼感が一気に落ちてしまうのです。
私たちの日常においても、素早いスイッチの切り替えが必要です。
仕事関係であっても、家庭や教育の場でも、誰かが「ちょっと話があるんだけど」と来たときは、手元の仕事は一度止めて、その人に向き合いましょう。
それは、その人にとっての緊急事態だからです。
私も、家で原稿を書いていても、家族が話しかけてきたときは、必ずパソコンを閉じて、「家族モード」に切り替えています。
逆に、家族も私が必ず聞くことを知っているので、本当に大切なことでないと、話しかけてきません。
ところが、今やっていることを続けながら、「なに?耳は聞いているから」などと対応すると、相手をイライラさせてしまうでしょう。
話を聞いて欲しい側からすると、「ダメだ!」という気分になります。
ふだんから、呼びかけには素早く、真摯に対応していきましょう。
『強運を味方につける49の言葉 (PHP文庫)』
「緊急モード」に素早く切り替えることのできる人は、目の前の問題に即座に集中し、それ以外の諸々のことを、瞬時にして捨てることのできる人だ。
「放下著(ほうげしゃく)」という禅の言葉がある。
放下著とは、投げ捨てる、放り出す、捨てきるという意味だが、すべての執着を捨て去るということでもある。
禅では、「今ここ」を大事にする。
昨日でもなく、明日でもない、「今ここ、即今」だ。
目の前の、ただ一事に集中する、そして他のことは考えない。
つまり、「今ここ」以外を捨て去ってしまうということ。
「どれだけの損が出る」とか、「会社が傾いてしまう」、「これからの評判はどうなるのか」というようなことを一切考えない。
最悪すべてがなくなっても、自分の身一つあればなんとかなると肚をくくる。
すると、覚悟が決まる。
何か事あったとき、ピンチに強い人でありたい。 |
|
|