2019.12.14 |
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ただ、相手の話に耳を傾けること |
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明治大学教授、齋藤孝氏の心に響く言葉より…
阿川佐和子さんの「聞く力」がベストセラーになりました。
その中に、人の話を面白そうに聞くことが大切だと書いてあります。
私も、人に好かれるためには人の話を面白そうに聞く才能が絶対的なパワーを持っていると思っています。
なぜなら私自身、面白い話をしてくれる人以上に、私の話を面白そうに笑って聞いてくれる人が大好きだからです。
私は講演会をよくやりますが、聞いている人たちが挨拶をして1、2分で笑ってくれることがあります。
そういう講演会だと、こちらも楽しくなって、面白い話がどんどん言えます。
でも反応が重い人たちの集まりでは、こちらの話も重くなってしまいます。
そんなときは「リアクションを少し大きめにお願いします」と言うようにしています。
よくやるのは3段階のリアクションの練習です。
もちろんジョークでやっていますが、まずは軽い「はあ、そうなんですか」というリアクションをしてもらいます。
次に中くらいの「へえ!」を練習し、最後に最上級の「どっひゃあ」を練習してもらうのです。
「私が話しながら合図をしますから、みなさん、練習した通りにリアクションをしてくださいね」と言って、リアクションをしてもらうと、会場もなごみますし、私も話しやすくなります。
ちなみにリアクションがうまくなると、自分は何も話さなくてもリアクションするだけで、相手にどんどん話してもらえるメリットがあります。
あるパーティーでカーネギーは有名な植物学者に会いました。
カーネギーは植物学者の話に魅せられて何時間でも話を聞いていました。
パーティーがお開きになったとき、植物学者はパーティーの主催者にカーネギーのことをさんざんほめちぎり、しまいには、「世にも珍しい話し上手だ」と言ったそうです。
しかしカーネギーは熱心に話を聞いていましたが、ほとんどしゃべっていなかったのです。
このエピソードから何がわかるのかというと、「どんなほめ言葉にも惑(まど)わされない人間でも、自分の話に心を奪われた聞き手には惑わされる」のだということです。
商談の秘訣についてチャールズ・エリオット博士という人はこう言っています。
「商談には特に秘訣などというものはない…ただ、相手の話に耳を傾けることが大切だ。どんなお世辞にも、これほどの効果はない」
『齋藤孝が読む カーネギー『人を動かす』 (22歳からの社会人になる教室1)』創元社
「話し三分に聞き七分うなずき、あいづち、驚きの表情」
という、田中真澄氏の『傾聴(けいちょう)の三動作』がある。
耳を傾けて熱心に聞くためには、三つの動作が必要だということだ。
それが、「うなずき」「あいづち」「驚きの表情」。
そして、何より大事なのは、自分は話すのを3割にとどめ、聞くことを7割にせよ、ということだ。
《あらゆる人間関係に役だつ提案を一つあげてくれと言われたら、私は真っ先に「いい聞き手になること」と答えるだろう》
という、R・カールソンの言葉がある。
人間関係の上手な人は、聞き上手だ。
自分がしゃべりたい欲を抑え、聞きに徹する。
そして、傾聴の三動作もそれに付け加える。
ただただ、相手の話に耳を傾ける人には限りない魅力がある。 |
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