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2019.12.10

笑いの効用

中村天風師の心に響く言葉より…

悲しいことやらつらいことがあったら、いつにも増して、笑ってごらん。

悲しいこと、つらいことのほうから逃げていくから。

多く言うまでもなく、笑えば心持は、何となくのびのびと朗(ほが)らかになります。

すなわち鬱(うつ)な気が開けるんです。

試しに、おかしくもなんともないときに、「アハハ」って笑ってみてごらん。

笑うにつれ腹が立ってくるとか、悲しくなってくるとか、つらくなってくるってことは、絶対にないんです。

この笑いの効用を応用すれば、すこぶるいい結果を人生に招くことができるんですよ。

このことに気づいている人が少ないようですなあ。

考えてみればすぐおわかりになられることなのですが、そもそもこの笑いというものは、生きとし生けるすべての生物のなかで、我々人間にだけ与えられている特殊の作用なんですぜ。

他の生物の世界には、人間のように笑うという表情をもって、心の喜びを表現する特別の作用は断然ありません。

こうした事実を厳粛に考えますと、笑いというものは人間にのみ与えられた特権だってことがわかるでしょう。

ですから、これを本当に応用せず、また使わない人生に生きるというのは、あまりにも馬鹿げた話だと思いやしませんか?

『ほんとうの心の力』PHP研究所


中村天風師の「私の習慣」という一文がある。(本書より)

『私は毎晩の寝がけに、

「今日一日、本当にありがとうございました。本当に嬉しく、ありがたく、これから休ませていただきます」

鏡を前に置いて、顔を映して、じいっと顔を見て、

「お前は信念が強くなる!」と一言いって、床の中に入る。

そして、

「今日一日、“怒らず、怖れず、悲しまず”を実行したかどうか」

「“正直、親切、愉快”に人生の責務を果たしたかどうか」

少しでも自らを省みるところがあったら、

「明日は、今日よりも、もっと立派な人間として生きるぞ」ということを心に描く。

そして、いかなることがあっても、喜びを感じ、感謝を感じ、笑いを感じ、雀躍(こおど)りして喜ぶ気持ちになって、その一刻を過ごすということが、何十年来の私の習慣である。

そして、朝起きると、まず第一に、ニッコリと笑う。

もう、くせがついているから、眼が覚めるとニッコリ笑う。

わざわざニッコリと笑わなくても、ひとりでにニッコリと笑う。

そして、

「今日一日、この笑顔を壊すまいぞ!」と自分自身に約束する。』

「楽しいから笑うのではない。 笑うから楽しいのだ」

という、ウィリアム・ジェームズ (アメリカの心理学者・哲学者)の有名な言葉がある。

これは、人に対する態度と同じ。

褒めて欲しいなら、自分から褒めなければならないし、感謝してほしければ、まず自分から感謝すること。

笑いも同じで、涙が出るほど笑って笑って楽しい時間を過ごすような仲間が欲しければ、まず自分が笑いが多い人間にならなければならない。

ニコリともしない不機嫌そうな顔をしている人の周りには、不機嫌な人しか集まらない。

また、「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しくなるのだ」と同じように、笑えば、悲しいことも忘れる。

これは、病気も同じ。

病気を治すのに一番いい方法は、病気になっていることを忘れることだと中村天風師は言う。

だから、病気に一番効く薬は笑うこと。

どんなに厳しいときでも、ニコニコと笑っていられる人は素敵だ。



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