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2019.11.1

ドラッカー式マネジメント入門 

竹石健氏の心に響く言葉より…

一般的に「企業は営利を追求するためにある」と考えられている。

しかしドラッカーは、これに異を唱える。

彼は、「利益は企業活動を支える最低条件でしかなく、それが目的なのではない」という。

会社という組織は、まず社会に貢献するために存在するというのが彼の見解だ。

では、企業にとっての社会貢献とは何か?

その第一は「顧客の創造」である。

企業は顧客が求め、それを満足させる製品やサービスを提供することでしか生き残れない。

顧客が求めるものをいち早く察知し、その欲求に応える商品を提供してはじめて、欲求が購買に変わり、企業は評価される。

つまり常に顧客の需要を汲み取り、その意識に見合ったものを提供していくことが、第一に企業が果たすべき社会貢献なのである。

だからドラッカーは、「顧客の創造」を第一に考える。

顧客を創造しないかぎり、企業は生き残れない。

「企業の価値を決めるのは顧客」だからだ。

顧客は気に入った製品やサービスを手に入れるために対価を払う。

その対価を多く集められる企業だけが、“価値が高い優れた企業”という評価を得られる。

たとえばアップルのiPhoneやiPadが「かっこいい」と若者たちの共感を呼び、大ブレイクしたことはご存じだろう。

その半面、顧客の創造に失敗すれば、企業はその使命を果たすことができない。

欲求に応えられないと売り上げという目標を達成できず、市場から撤退せざるを得ない。

したがって、企業が自らの発展と社会貢献を願うなら、「顧客を創造」していかなければならない。

顧客が価値を認め、求めるのは「製品そのものではなく、それらが提供する“効用”」である。

効用は「満足感」と置き換えてもよいかもしれない。

したがって企業は、製品やサービスを通じて彼らを満足させるよう、絶えず働きかけていかねばならない。

企業にはそのためのマネジメントが不可欠だ、その第一の武器になるのが「マーケティング」である。

ここでいうマーケティングとは一般にいわれているような、「市場調査」でもなければ「販売テクニック」でもない。

人々の欲求を察知し、消費、利用してもらえるような満足を与える戦略を練ること。

言いかえれば、「売れる仕組みづくり」である。

マーケティングとは、「顧客は何を求めているか」を自らに問いかけ、彼らの欲求、ニーズを把握して、それを満足させるべく、「我々はこうした製品やサービスを提供できます」と訴えかけることに尽きる。

しかし、マーケティングだけで企業は成功できない。

マーケティングは「現在の事象」には対応できるが、企業は絶えず成長する経済に対応していかなければならず、未来への変化を前提として活動していかなければならないからだ。

これを可能にするのが「イノベーション」である。

これも単なる「技術革新」や「発明」「改良」ではない。

「新しい経済的満足を生み出すための方策を生み出すこと」である。

価値の下落は避けられない。

それは価格の低下や販売数の減少になって表れる。

したがって企業は、従来の製品やサービスだけで満足せず、常に新しいものを提供していかなければならない。

「イノベーション」の意味は、顧客の新しい欲求に応え、満足を与える製品やサービスを創造し、一歩抜きんでた制度や仕組みをつくり出すことである。

「より大きな新しい富を生み出す能力を獲得するための新しい挑戦」と言い換えてもよい。

《企業や組織には、絶えず自らを社会の動きに適合させるための「マネジメント」が不可欠で、その二大要素が「マーケティング」と「イノベーション」なのである。》

『図解・やるべきことがよくわかるドラッカー式マネジメント入門』イースト・プレス


ドラッカーは、イノベーションについて本書の中でこう語る。

『企業や組織は、新しいことにチャレンジするとともに、「陳腐化」したものを「廃棄」する必要がある。

使命が終わった製品やサービス、顧客満足が達成できなくなったもの、業績に貢献できなくなったものは、速やかに廃棄する必要があるのだ。』

今ほど「イノベーション」の必要性が叫ばれている時代もない。

前例踏襲や、過去の知識の積み重ねでやってこれた時代が去ってしまったからだ。

古い知識や、常識といった囚(とら)われを捨てなければ、変化という大きな谷間を飛び越えることはできない。

思い荷物を捨て、身軽にならなければ、ジャンプすることはできないからだ。

また、「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」というヘンリー・フォードの有名な言葉がある。

当時のアメリカは、一般大衆の主な移動手段は車ではなく、まだ馬だったからだ。

顧客は、この世にないものを想像できない。

だからこそ…

新たな顧客を創造するため、イノベーションに挑戦したい。



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