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2019.10.26

勝者とは、始める人ではなく続けた人

ダヴィンチ研究者、桜川Daヴィんち氏の心に響く言葉より…

《勝者とは、始める人ではなく続けた人のこと》

石は、火切り鉄に叩かれたので、びっくりして声を荒げていった。

「どうして私をいじめるの。人違いでしょ。私を苦しめないでくれる?私は誰にも迷惑をかけていないのよ」。

すると、鉄が答えた。

「我慢すれば、素晴らしい結果が生まれるはずさ」。

石は機嫌を直してじっと苦痛に耐えていると、やがて素晴らしい火が生じた。

その火の威力は、無限に役立つことになった。

これは学習を始めたばかりの初心者が、自己を抑えて、地道に学びを続けた結果、偉大な成果を生み出すことにたとえられる。

(レオナルド・ダ・ヴィンチ/アトランティコ手稿)

「私は続けるだろう」…こんなつぶやきが、晩年のダ・ヴィンチ・ノートに書き残されています。

何を続けようとしたのか、肝心なことが省略されていますが、とにかく続けることを意識の中心に置いていたのがダ・ヴィンチでした。

ダ・ヴィンチが生涯続けたことは、自己表現のアウトプットであり、自分のメッセージを伝えることです。

万能の活躍をしたように見えて、実は「調べてノートに書き続ける」、そして「とにかく絵を描き続ける」という2つのシンプルな繰り返しからすべては生まれました。

続けるけることが自尊力にもつながり、次第に周囲からも認められる存在になりました。

生涯、地道に研鑽(けんさん)を続けていった結果、科学者としての数々の業績を残しながら、偉大な芸術家となったのです(おまけに後世、そのノートと絵画は、共に世界最高額で落札されました)。

日米通算4367安打を放ち、45歳まで現役を続けたイチロー選手も、まさに続けた人。

試合前には決まったメニューのトレーニングをこなし、試合中は打席に向かう動作をルーティンとして守り、試合後は必ず道具を磨く。

遠征先には枕を持ち歩き、自己管理を徹底しました。

大きな成果を上げるには、「新しいことを始める人」とイメージしがち。

でも「石と鉄」のたとえからもわかるように、「続ける」をダ・ヴィンチは徹底したのです。

何かが生まれるのはその先。

この順番を間違えてはいけないのでしょう。

『超訳 ダ・ヴィンチ・ノート 神速で成長する言葉』飛鳥新社


桜川氏は本書の中でこう語る。

『AI時代には、専門分野を極めたスペシャリストが淘汰されやすいと言われています。

ダ・ヴィンチのようにマルチな才能を持ち合わせ、さまざまなジャンルのものを創造できる人間が求められているのです。

「1つのことを追求するだけでも大変なのに、どうやったら同時にできるの?」

「才能のある人ならできるけど、自分にはそんな才能ないから無理だよ」

ダ・ヴィンチは決して生まれながらの天才でも超人でもなく、努力と戦略によって成果を上げ続けていった「人間」です。

失敗や挫折を経験したダ・ヴィンチが、数々の偉業を成し遂げていく過程で、どのようなスキルを身につけ、使ったか。

それは、夢や目標を叶えるための、地球史上最強のアプローチ法と言っても差し支えありません』

また、ソフトバンクの孫正義は、こう語る。

『レオナルド・ダ・ヴィンチはテクノロジーとアートをクロスオーバーさせた。

当時最強のテクノロジーだった医学、物理、化学を操る頭脳を持ち、「モナ・リザ」のようなアートまで描いた。

アートとテクノロジーをクロスオーバーさせた最強の1人目がダ・ヴィンチだとすると、2人目はスティーブ・ジョブズだと思います。

単なる電化製品は世の中にたくさんありますが、アートと呼んでいい初めての製品がiPhoneだった』

ダ・ヴィンチは人体の解剖学に関する研究をし、数多くのきわめて精密な解剖図を作成し、解剖学の基礎を築いたといわれる。

それを称(たた)え、現在ではダ・ヴィンチという名前の手術支援ロボットが開発されている。

また、今まで我々は、ロジカルシンキング(論理思考)やサイエンスを重要視してきたが、昨今はそこにアートの感覚を取り入れるようになってきた。

モノがあふれかえっている今、さらなる価値を創造するためには、アートやデザインの感性が必要だからだ。

まさに、ダ・ヴィンチは、500年以上前からそれを実践していた。

長く続けることは、多くの人間にとって、最強の武器となる。

長く続けることができる人でありたい。



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