2019.10.12 |
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「美しい所作」は、心とからだにいい |
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東京大学名誉教授、矢作直樹氏の心に響く言葉より…
残心(ざんしん)、という言葉をご存知でしょうか?
弓道、剣道、柔道などの武道、さらに伝統芸能の世界でもよく使われる言葉です。
意味としては「それを終えた後、力をゆるめる、あるいはくつろぎながらも、まだしっかりと注意を払っている状態」です。
気持ちが途切れていない状態、とも言えるでしょうか。
日常生活でも、残心を生かしてみたらいかがでしょう。
ドアや襖(ふすま)は、静かに、最後まで閉める。
湯飲み、コップ、食器は、静かに置く。
静かに歩く。
無用な音を立てない。
これらは所作としても美しく見えます。
食事を済ませた途端、パタパタと立ち上がらない。
余韻を大事にしてください。
お茶を飲み、落ち着いてから片付けましょう。
食べ物を箸(はし)でちゃんとつまめるか、外出の際に階段を踏み外さないか。
こういう動作への注意も、年を重ねてくると大事なことです。
食べ物を箸でちゃんとつまめるというのは、脳機能はもちろん握力と視力がしっかりと機能している証拠です。
階段を踏み外さないというのは、同様に脳機能、脚力(腰、太もも、膝、ふくらはぎ、足首、足指など下肢全体の総合力)と視力がしっかりと機能している証拠です。
常に緊張する必要はないのですが、自分に注意を払う。
ここが大切です。
加齢で少しずつ難しくなりますが、なるだけ気持ちが途切れないよう、その動作を意識してください。
加齢によるからだの変化を知ることもできるでしょう。
すべては「今の自分」を意識することからです。
『自分を休ませる練習 しなやかに生きるためのマインドフルネス』文響社
たとえば、柔道においては、技を掛け、決まったと思った一瞬、気を抜き油断した隙(すき)に、相手に逆襲されるようなことがある。
そこで必要なのが「残心」。
技が決まったと思っても、勝負が決まるまで決して気を抜かず、意識の集中を切らさないこと。
しかし、昨今のスポーツ化された柔道では、「残心」はなくなり、勝った瞬間にガッツポーズをしたり、ピョンピョン飛び跳ねたりする。
所作としても静謐(せいひつ)さに欠け、美しくない。
現代人は、すべての動作において、急ぎすぎる。
急げば急ぐほど、忙(いそが)しくなる。
「いそぐ」から「いそがしい」が生まれたという。
残心には余韻が残る。
「美しい所作」を身につけたい。 |
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