2019.9.19 |
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マインドセットとは |
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キャロル・S・ドゥエック氏の心に響く言葉より…
私の人生を変えてしまうような出来事に出合ったのは、研究者になってまだ間もないころのことだった。
人は失敗したときどうするかということに、かねてから非常に興味のあった私は、子どもたちに難しい問題を与えて、それと取り組むようすを観察することにした。
子どもたちを教室に集め、緊張がほぐれたところでパズルを解かせたのである。
まず初めにかなりやさしい問題を解かせ、その後で難しい問題を与えてみた。
うーむとうなって頭をひねる子どもたちを観察しながら、どんな心理状態で、どのようにパズルを解いていくかを探った。
難問への対処の仕方が子どもによってまちまちであることは予想していたが、そこにまったく予想外の反応を示す子どもが現れたのである。
難しいパズルを出された10歳の男の子は、椅子を引き寄せ、手をもみ、唇をなめながら、元気よくこう言った。
「なかなかとけない問題ってぼくだいすき!」汗ばむほどパズルに夢中になっているもうひとりの子は、目を輝かせながらこうつぶやいた。
「このパズルをやると頭が良くなるよ、きっと」
どうなっているの、この子たち?
私はそれまでずっと、成功か失敗か、その二つに一つしかないと思っていた。
まさかつまずきそのものを楽しむ人間がいるなんて。
この子たちはエイリアンだろうか。
いや、何か重要な秘密を知っている子どもたちかもしれない。
人生の重要な局面で、進むべき道を示してくれる人が「人生の師」だとしたら、この子どもたちこそが私の師であった。
この子たちは私の知らない大切な何かを知っている。
それをどうにかして突きとめたい。
つまずきを天からの贈り物にしてしまう「マインドセット」(心のあり方)とは、どのような心の持ち方なのだろう。
この子たちは、努力すれば頭が良くなると信じている。
そして実際、どんどん賢くなっている。
つまずいても落ち込んだりしない。
落ち込まないどころか、そもそもつまずくことを失敗とは考えておららず、何を学びとるチャンスだと思っている。
人間の能力は学習や経験によって伸ばせるものなのか、それとも、石板に刻まれたように変化しないものなのかという議論は、今にはじまったことではない。
しかし、今、あなたがどちらの説を信じるかによって、あなたの未来は大きく変わってくる。
自分の能力は石板に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人…「こちこちマインドセット」の人…は、自分の能力を繰り返し証明せずにはいられない。
反対に、「しなやかマインドセット」の人の根底にあるのは、人間の基本的資質は努力しだいで伸ばすことができるという信念だ。
もって生まれた才能、適正、興味、気質は一人ひとり異なるが、努力と経験を重ねることで、だれでもみな大きく伸びていけるという信念である。
『マインドセット「やればできる! 」の研究』草思社
本書の中で、「マインドセット」(心のあり方) についてこう書いてある。
『能力を固定的に考える世界では、つまずいたらそれでもう失敗。
落第点を取る、試合に負ける、会社をクビになる、人から拒絶される…そうしたことはすべて、頭が悪くて才能がない証拠なのだ。
それにたいし、能力は伸ばせると考える世界では、努力こそが人を賢く、有能にしてくれる。
著名な社会学者ベンジャミン・バーバーがこう述べている。
「私は人間を弱者と強者、成功者と失敗者とには分けない…学ぼうとする人としない人とに分ける」
人間はいつから学ぶのをやめてしまうのだろうか。
だれもがみな旺盛な学習意欲をもって生まれてくる。
赤ちゃんは日々新しいことをマスターしていく。
歩く、しゃべるといった困難きわまりない課題にもどんどんチャレンジする。
難しくて無理だとか、努力しても無駄だんんて決めつけない。
間違ったらどうしよう、恥をかくんじゃないかなんて気にしない。
歩いてはつまずき、また起き上がる。
よろけながらも、ひたすら前に進んでいく。
このあふれんばかりの学習意欲をつぶしてしまうもの、それこそが硬直したマインドセットなのである。
自分自身を評価する力が芽生えたとたんに、チャレンジを恐れる子どもがでてくる。
自分は頭が悪いのではないかと怖じ気づくようになるのだ。
こちこちマインドセットの若者が望む理想のパートナーの人物像は、
◆自分をあがめてくれる人
◆自分は完璧だと感じさせてくれる人
◆自分を尊敬してくれる人
反対に、しなやかなマインドセットの若者が望む理想のパートナーの人物像は、
◆こちらの欠点をよくわかっていて、その克服に取り組む手助けをしてくれる人
◆もっとすぐれた人間になろうとする意欲をかきたててくれる人
◆新しいことを学ぶように励ましてくれる人
つまり、自分の成長を促してくれる人を求めていた。
自分は完全無欠な人間で、もう学ぶことなどないとは思っていないからだ。』
工学博士の上原春夫氏は成長についてこう語っている。(成長するものだけが生き残る・サンマーク出版)より
『「成長しなくても、現状維持で十分だ」という人や企業の経営者がいるとしたら、それは重大な危機を招くことになります。
成長するものだけが、生き残るのです。
現状維持にとどまるものは、即、衰退に向かうのです。
伸びている会社でも、その現状に満足してしまったら、その瞬間にその組織は下りの階段を転がり落ちていくことになります。
成長したいという欲求は、人間だけがもつ欲求で、他の動物にその欲求はありません。』
しなやかなマインドセットの人は、成長することこそが、この大変化の時代で、生き残る唯一の道であることを知っている。
現状維持は即、衰退に向かう。
いくつになっても、学び続け、成長し続ける人でありたい。 |
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