2019.8.31 |
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求められていることに応える |
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明治大学教授、齋藤孝氏の心に響く言葉より…
《求められていることに応える》
私は、「どんな本を読めばいいですか?」とよく聞かれます。
その人が読書に何を求めているのかがわかれば、相手に応じていくらでも答えることができます。
ただ、「どうしたらモテるようになりますか?」とはあまり聞かれません。
私には、そういう問題についてアドバイスできないだろうとみなさん思っているのでしょうね(笑)。
頼られる、アドバイスを求められるということは、他の人たちが「この人はこれがうまい」「このことに強い」と認識しているということです。
あなたが職場の人間関係について相談を持ちかけられることが多いとしたら、周囲からそういう対応力や知恵があると思われているのです。
「なんかいい店ないかな?」と聞かれることが多いとしたら、美味しくて目的に合ったお店をたくさん知っていると思われているということです。
それは間違いなくあなたの強みです。
応じることで、誰かの役に立っている、貢献できているといえます。
いっぽう、自分が得意とすることと、他人の評価が若干ズレることもあります。
私の研究の専門領域は教育論、身体論です。
音読教育の重要性を提起するために『声に出して読みたい日本語』を書きました。
Eテレの『にほんごであそぼ』の総合指導をしていることもあり、私のことを「日本語の専門家」だと思っている人も多いようで、取材や講演でもそういった依頼をよくいただきます。
「私は国語学の専門家ではないので…」とお断りしていた時期もあったのですが、なぜ私にオファーしてくださるのかを考えてみました。
専門的な話をしてほしいわけではなく、「テーマに即したわかりやすい話」が求められているのです。
それならば「私だからこそできる」と思えます。
そう考えてから、自分のジャンルを超えていると思うときも、喜んでお引き受けすることにしました。
人が求めてくれることは、「きっとこの人ならうまくできるはず」と期待されているのだと考えてみるといいでしょう。
期待に応えようと頑張ることで、自分の領域、対応力がぐんぐん広がっていくのを実感できるはずです。
『人生後半の幸福論 50のチェックリストで自分を見直す (光文社新書)』
サイバーエージェント社長の藤田晋氏は『運を支配する』(幻冬舎新書)の中でこう語る。
『頼みごとがうまくて、いろいろな人に借りをつくるのが上手な人。
頼まれていろいろやってあげたり、貸しをつくるのが上手な人。
両者を比べた場合、どちらのほうが運がよくなるかというと、間違いなく後者です。
短期的にはいろいろな人に頼みごとをして、やってもらえる人は得をしているように見えますが、はっきりいってこの手の人は、一時運に恵まれることがあっても、長続きしません。』
頼まれたことを文句もいわず淡々とやる人は、ギブの人(与える人)。
ギブの人は見返りを求めないから、そこに「信用」が積み重なっていく。
「信用」は、結局はお金に換算することができる。
そして、結果として、運がどんどんたまっていく。
よく、「夢を持たなければいけない」と言われる。
イチローのように子どものころから「野球一筋」という夢を持つ事ができればいいが、「夢を持てない人」も多い。
そんな「夢を持てない」人は、「人に求められていること」を嫌な顔をせず、ただひたすら引き受けていくという道がある。
人に求められる道には、自分の得意分野でないことも往々にしてある。
しかし、かまわずそれを引き受けていくと、自分の世界が広がり、自分のやるべき使命も見えてくる。
中には、「私は人からあまり頼まれることはない」という人がいたら、それは「頼みにくい人」になっているかもしれない。
「頼みにくい人」は、頼んだ時、何回も「嫌な顔」をしたり、「不機嫌」になったりする人だ。
そんな人は、だんだんと頼まれることはなくなっていく。
求められていることに応えることができる人でありたい。 |
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