2019.8.27 |
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たくさんの優しさに出会えたから |
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医師、鎌田實氏の心に響く言葉より…
苦悩し張り裂けそうな悲しみを乗り越えるには、自らへの視点を少しずらして、大切な誰かを思いやることが、一番いいのです。
人生は思い通りにならない時があります。
そんな時は、勝てなくても、負けなければいい。
負けない生き方があるのです。
悲しみは相手の身になることで癒されます。
大切にされるのを待ちわびていてはダメ。
自分から、人を大切にしてください。
「あなたが大切です」「あなたに感謝している」と誰かに言ってもらえると、人は生きていけるのです。
だから、自分の悲しみは横に置いて、誰かのために何かをしてあげると、新しい展開が始まるのです。
人はみな、愛に飢えています。
必ず、時間はかかってもあなたのところに、優しさやあたたかさが戻ってきます。
人生はうまくできています。
福島県の会津若松に講演に行ってきました。
講演が終わり、講演会場で僕の本にサインをしていると、ある中年の女性から声をかけられました。
「古い本ですけど、サインをしてくださいますか。娘の本棚にあった『がんばらない』です」
「いいですよ。喜んで」
「娘はリンパ性白血病で亡くなりました。娘は病気と戦いながら、先生の本を読んでいたようです。サインをしていただいて、娘の仏壇に手向けたいと思います」
白血病の治療を受けながら、苦しみを僕の本で耐えていたのだ。
ありがたいことです。
光栄なことです。
合唱部で活躍していた女の子。
高校2年の時に急性リンパ性白血病と診断されました。
よく勉強し、友達思いでみんなから好かれていました。
病気との闘いは1年半続きました。
途中、大腿骨骨頭壊死が起き、病気との闘いは熾烈を極めました。
高校3年の卒業式を前にした1月1日、娘さんは17歳と10ヵ月の短い命を終えました。
亡くなった後、ご両親が放心状態でいる時、なんと友達が娘さんの手紙を届けてくれました。
亡くなっているはずの娘さんから自筆の手紙が届いたのです。
亡くなる9ヵ月ほど前に、もしものことがあった時に両親に渡してほしいと、大親友に手紙を預けていたのです。
すごい子だな、と思いました。
「お父さん、お母さん、今まで大切に育ててくれてありがとう。
今は、お父さんとお母さんがこの手紙を、読まなくていいようにと願いながら書いています。
でも、この手紙を読んでいるということは残念な結果だったんだね。
でも、ここまで自分なりに努力してきたんだから、もう休んだっていいよね。
私は後悔してないよ。
こんな病気になって不幸だって思ったこともあった。
だけど今は全然不幸なんかじゃない。
幸せだよ。
だって、たくさんの優しさに出会えたから…。
お父さんとお母さんに愛してもらい続けた娘より」
『1%の力』河出書房新社
《あなたに出会った人がみな、 最高の気分になれるように、 親切と慈しみを込めて人に接しなさい。 あなたの愛が 表情や眼差し、微笑み、言葉に あらわれるようにするのです。》 (マザー・テレサ)
自分がとてつもなく辛い時でも、他の誰かを思いやることができる人がいる。
マザーテレサのごとき人だ。
多くの人は、自分が苦しい時や、疲れているとき、不安に思っているときは、自分のことしか考えられない。
他の人を思いやれる余裕がないのだ。
我々は時々、グチや、不平不満、泣き言や文句を言ってしまうことがある。
しかし、自分がいかに恵まれているかと気がついたとき、自分の「あまりの小ささに」、「あまりの甘ったれぶりに」恥ずかしさで身もだえしたくなる。
今、「生かされている」、ただそのことだけでもありがたいのに…。
「たくさんの優しさに出会えたから」
日々感謝の気持ちを持ち、人を思いやることのできる人でありたい。 |
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