2019.7.17 |
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今生の自分の役割をしっかりと果す |
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ひろさちや氏の心に響く言葉より…
インド人は輪廻転生を信じている。
人間は生まれ変わり死に変わりして生存し続ける…といった輪廻の思想を古代からインド人は持ちつづけている。
この輪廻の考え方によると、人間はこの世にあって一つの役割を果たしていることになる。
そして、与えられる役割は人それぞれにちがう。
男の役割、女の役割、金持ち、貧乏人、貴族、庶民…と、役割は無限にある。
その役割を振り当てられて、わたしたちはこの世に生存している。
なかには損な役割もある。
そして、いやな役割がある以上、貧乏くじを引かされる人もいるわけだ。
それはちょうど、舞台の上の芝居のようなものだ。
芝居にはさまざまな役割があり、誰かがその役割を引き受けなければならない。
王子さま、お姫さまの役割だけでなく、悪代官の役割だってあり、それを演ずる人が必要だ。
もちろん、芝居の筋書きを変えて、損な役割・いやな役割をなくす努力も大事である。
けれども、現実の芝居にその役がある以上は、誰かがそれを引き受けねばならない。
そうでないと芝居にならない。
そこでインド人は、わたしはこの世でこんな役割を与えられたから、それをしっかりと果たしていこうと考える。
他人の役割をうらやましく思うのはやめて、自分の役割をしっかりと果たそうとするのが、インド人の考え方だ。
そうすると、輪廻の次の舞台でもっといい役割がもらえると信じているわけだ。
わたしは、インド人の考え方を全面的に肯定するわけではない。
が、他人の役割を羨望することなく、自分の役割に専心するインド人の態度に、拍手をおくりたい。
『がんばらない、がんばらない (PHP文庫)』PHP文庫
本書の中にある禅の高僧の話があった。
『明治時代の禅の高僧が、70歳か80歳になって、英語の勉強をはじめた。
弟子たちが、いまからでは無理ですよ…と言う。
高僧は答えたそうだ。
「うん、わしもそう思う。しかし、いま、単語の一つ、二つをおぼえておくと、この次、生まれてきたとき楽じゃろうと思うてな…」と。』
現世で、悪いことをし尽して、しかも何の罪も問われなくて「この世はチョロイ」と思って死んでいった悪人がいたとする。
しかし、もし輪廻があり、来世に生まれ変わるとしたら、来世でその報いを受けるかもしれない。
この高僧のように、この次、生まれてきたときに楽だと思うか、反対に、最悪だと思うか。
この世限りと思えば、投げやりになろうが、いい加減に生きようがそれで完結であり、一切が終わりだ。
しかし、人生が1000年か2000年続くと思えば、今生はその中の一瞬に過ぎない。
「今生の自分の役割をしっかりと果す」
与えられた自分の役割を全力で全うしたい。 |
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