2019.7.16 |
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ディープ・チェンジ |
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ロバート・E・クイン氏の心に響く言葉より…
テーマは、「いかにして根本から変わるか(ディープ・チェンジ)」だ。
個人でも組織でも、ディープ・チェンジには勇気が必要だが、その資質は誰もがもっている。
人は自己鍛錬を重ねて自分の才能に磨きをかけるにつれて、ものごとの可能性を否定しなくなる。
代わりにそれを成し遂げるプロセスと人間関係を尊重しはじめ、より好ましいビジョンを思い描き、道徳に従って生きるようになる。
そうやってこれまでより人生に意義を見いだせるようになると、力と自信がわいてきて、まわりの人たちにも力と自信を与えらえるようになる。
いま、めまぐるしいスピードで変化している世界の中で、自分の能力以上のことを求められていると感じている人は多い。
そう感じると、つねに「無力な犠牲者」や「受動的な傍観者」を演じたいというい誘惑にさらされることにもなる。
しかし、そういう役割を演じて生きると、人はなにに対しても無関心になり、生きがいや働きがいを失ってしまう。
あらゆることを表面的にしか見なくなり、ものごとに可能性や敬意を感じなくなる。
言い換えれば、緩慢な死への道を歩みはじめる。
ディープ・チェンジか緩慢な死か、というジレンマは、いまに始まったことではない。
しかし今日ほど、そのジレンマが際立つ時代はない。
現代社会では、なにかに意義や安定を見いだした次の瞬間にはもう、それが崩れ去ってしまう。
結果として、私たちはたえず、ディープ・チェンジか緩慢な死かを選択しつづけなくてはならないのだ。
どんな人でも、一度や二度は無力感にさいなまれたり、自分が孤立していると感じたり、人生に意味を見いだせなくなることがある。
現状を変えるべきだとわかってはいても、そのためのやる気とアイデアがわいてこないときもある。
あるいは、自分ではなく、まわりの誰かの行動を変えたいときもあるだろう。
友人から聞いた話をしよう。
アメリカのある州政府の幹部たちが、リーダーシップ研修を実施することにした。
主体的に行動し、組織内で根本的な変化を推し進められる行政官を育成するのが目的だった。
そこで彼らはまず、模範となるリーダーを探しはじめた。
官僚というと、変化に抵抗する守旧派というイメージがあるが、州政府内にも変革型のリーダーがいるかもしれないと考えたのだ。
意外にも、さまざまな機関や組織で、劇的な変革を成し遂げた人たちが次々と見つかった。
あるリーダーは、市民を窓口で長時間待たせることで悪名高かった部署を引き継ぎ、一年後には州政府内で最も評判のいい部署に変身させた。
別のリーダーは、環境が劣悪だった州立病院に着任し、二年後には全米の手本となる病院に様変わりさせていた。
州政府の幹部たちは、こうした変革型リーダーたちを紹介するビデオをつくろうと考え、取材チームを差し向けた。
ところが、取材チームは手ぶらで戻ってきた。
なぜか?
変革型のリーダーたちは一人の例外もなく、少なくとも1回以上、州法違反にあたる行動をとっていたからだ。
効率の悪い組織をより効率的な組織に変えるためには、正規の書類を提出しなかったり、規則や命令を無視したりすることが避けて通れなかったのである。
法律を破らなければ組織のディープ・チェンジを起こせないわけではない。
しかし、ディープ・チェンジは、誰かが大きなリスクを覚悟して行動しないかぎり実現しない。
組織と変革…この二つの概念は、そもそも互いに相容れない。
組織を築くとは、システムをつくって行動の予測可能性を高めることだ。
あらゆる組織は、その組織の内外の人々が抱く期待を土台に動く。
外部の期待のなかには、小売店に対する消費者の期待(「あの店に行けば、いいものを安く買える」とか)のような非公式のものもあれば、組織の行動を規制する、法律のような公式のものもある。
同様に、内部の期待にも、非公式のものもあるし、定型的な手順やパターン、ルールなど公的な色彩の強いものもある。
いずれにせよ、こうした期待は、組織が予測可能な行動をとるよう背中を押す。
行動を定型化すれば、たしかに組織の効率は高まり、行動の質も向上する。
しかし、パターン化された行動は同時に、組織を停滞と衰退に導いていく。
変化しつづける世界とのギャップが広がるからだ。
その挙げ句に、企業であれば顧客という重要な財産を失う。
『ディープ・チェンジ 組織変革のための自己変革』海と月社
いつの時代も変化しないものは生き残れないが、現代はそのスピードが加速度的に早くなっている。
しかも、その変化の規模は巨大だ。
変化という大きな谷を飛び越えるには、自分が背負っている重い荷物を捨て、身軽にならなければならない。
重い荷物とは、過去の成功体験や、自分独自の昔からの決まり事や、信念という名の思い込みだったりする。
嫌な気持ちや恐怖の感情を捨て去ろうと考えるより、楽しいことや嬉しいことで脳の中がいっぱいになった方が、嫌な気持ちを忘れることができる。
人間は同時に二つのことを考えることができないからだ。
それと同じで、過去の成功体験を捨て去ることは難しいが、常に新しい知識や未知の体験をしようと努力している人は、過去の成功体験など気にならない。
次々と、新しい知識を得て、新たな成功体験を積み重ねていけるからだ。
リスクをとり、常に新たなチャレンジをしていく…
変わる勇気を手に入れたい。 |
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