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2019.6.30

可動域を広げよ

明治大学教授、齋藤孝氏の心に響く言葉より…

二年ほど前、経済産業省の若手官僚の有志がまとめた文書「不安な個人、立ちすくむ国家」が話題になりました。

日本の現状と中長期的な課題をまとめたものですが、その是非はともかく、そこに掲載されている統計データの一つに驚かされました。

タイトルは「定年退職を境に、日がなテレビを見て過ごしている」。

2011年の総務省「社会生活基本調査」の結果をグラフ化しているのですが、60歳代前半の男性無業者の多くは、平日の日中から夜にかけて、ほとんどテレビ等を見て過ごしているというのです。

これには理由もあります。

同文書によれば、65歳以上でも働きたいと考えている人は6割を超えています。

ところが、60歳以上で常勤の仕事に就いている人は約1割。

7割以上は非常勤等の仕事もしていないそうです。

つまり、働きたくてもいい働き口がないから、テレビで時間を潰すしかない、となるわけです。

明日は我が身、と思っている現役世代の方も多いことでしょう。

しかし、別の見方もできます。

仕事から解放されて自由に使える時間が増えたのなら、自分のために有効活用してもいいはずです。

ところが、気がつけば、仕事以外にやることがない。

そういう人が多いのかもしれません。

これについては、私も思い当たるフシがあります。

私はコミュニケーションツールとして「偏愛マップ」というものを推奨しています。

A4の紙一枚にとにかく自分の好きなもの・好きなことを書き連ねるだけなのですが、それを初対面の場面で交換すれば、話題を見つけやすいので会話が弾みやすくなります。

以前、ある大企業のセミナーでこれを実践していただいたところ、A4一枚に空白が目立つ方が続出しました。

特に部長クラスの方々は、例えば「ゴルフ」「カラオケ」「居酒屋」まで書いてペンが止まってしまうのです。

「では居酒屋の何が好きですか?もう少し書き加えてください」とお願いしたら、「焼き鳥(ハツ)」とのこと。

おそらく日々が多忙なため、とても他のことにうつつを抜かしている暇などないということなのでしょう。

もちろん仕事に全身全霊を傾けることは尊いですが、その状態がいつまでも続くわけではありません。

最終的には定年があるし、その前に異動や転職で環境がガラリと変わることもあり得ます。

そこから先、長い人生とどう折り合いをつけるか、考えてみたことはあるでしょうか。

よく、「早いうちから趣味を持とう」「今の人間関係を大切にしよう」といったアドバイスを聞くことがあります。

もちろんそれらも大事ですが、私はもっと根本的な部分から日常を見直したほうがいいと考えています。

それは「可動域を拡げる」ということです。

人の体は、放っておけばだんだん硬くなります。

もっとも柔らかいのは赤ちゃんのとき。

つまり可動域がもっとも広いわけです。

それから年齢とともに硬くなり、老年期に入るといよいよ動かなくなり、死を迎えて硬直します。

また「硬さ」は俊敏性や反射力にも影響します。

例えば急にボールが飛んできたとき、若いうちならサッと避けられるかもしれませんが、高齢になると硬くなってとっさの身動きがとれなかったりします。

これは身体の話ですが、実は意識とも連動しています。

身体の柔らかい赤ちゃんは、世の中のすべてに対して関心を持ちます。

あるいは小学校2〜3年生のころを思い出してみてください。

やはり身体はきわめて柔軟で、何に対しても好奇心旺盛だったのはないでしょうか。

『可動域を広げよ (日経プレミアシリーズ)』日経プレミアシリーズ


齋藤孝氏は本書の中で脳や体のストレッチについて、イチロー選手の引退会見の言葉を引用してこう語る。

『人よりがんばることなんてとてもできないんですよね。

あくまではかりは自分の中にある。

それで自分なりにそのはかりを使いながら、自分の限界を見ながらちょっと超えていくということを繰り返していく。

そうすると、いつの間にかこんな自分になっているんだという状態になって。

だから少しずつの積み重ねが、それでしか自分を越えていけないと思うんですよね。

一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それは続けられないと僕は考えているので。

地道に進むしかない。

進むというか、進むだけではないですね。

後退もしながら、あるときは後退しかない時期もあると思うので。

でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく』

努力に王道はない。

それは、イチロー選手のいうように、毎日の少しずつの積み重ねによって、「いつのまにかこんな自分になっている」という状態になること。

歳を重ねるごとに、多くの人の可動域は狭くなる。

思考の柔軟性がなくなり、硬くなって、新しいことや違った意見を受け入れられなくなる。

そのためには日々、考え方や意識の可動域を広げるトレーニングを繰り返すしかない。

新しいことやめずらしいこと、変わったことに触れること。

楽しいことや面白いこと、興味深いことを体験すること。

年配者だけでなく若い人たちや、男女に関わりなくコミュニケーションをとること。

そして、バカバカしいこと、くだらないことをやってみて、楽しむこと。

年齢を重ねれば重ねるほど、凝(こ)り固まってはいけない。

いくつになっても、可動域を広げる努力を重ねたい。



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