2019.4.28 |
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ファシリテーターのスキルを身につける |
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会議ファシリテーター普及協会代表、釘山健一氏の心に響く言葉より…
「会議より現場のほうが大事だ!」あなたはそう思っていますか?
私は違います。
「会議も現場だ」。
これが私の考えです。
なぜならば、私にとって、“体全体を使い新しいものを作り出していくクリエイティブな現場”それが会議だからです。
このような今までの「常識を超えた会議」の進行役を「ファシリテーター」と言います。
ファシリテーターの技術は奥が深く、それを極めるには大変な努力と経験が必要です。
しかし、ファシリテーターの技術の中には、誰でもすぐに使える技術がたくさんあります。
その技術を知って活用するだけで、あなたは今日からファシリテーターの仲間入りができるのです。
例えば、次の例はどうでしょうか?
「この議題について、ご意見のある方はお願いします」
議長が参加者にこう言うと、真っ先に手を挙げるのが「困ったちゃん」。
会議の中ですぐに手を挙げ、しかも発言の長い人のことを私たちは「困ったちゃん」と呼んでいます。
会議では、往々にして困ったちゃんばかり発言して、他の参加者が発言しなくなってしまうことがあります。
なぜ、困ったちゃんが生まれるのか?
それは、会議のはじめに議長が「この議題について、ご意見のある方はお願いします」と、“全体に”向けて言うのが原因です。
議長なら必ずおこなうこの“普通”の進行が、実は困ったちゃんを生んでいるのです。
では、どうしたらいいのでしょうか?
その方法は…。
会議のはじめは「発言」させるのではなく「考える」時間にすることです。
そのために、ファシリテーターの最初の指示は「この議題について、自分の意見を5分間、お手元のA4の紙に書きながら整理してみてください」となります。
これが、全員の意見を尊重するファシリテーターの進行のコツです。
いままで、「会議は、とにかく結論を出すことが最も大切だ」と考え、参加者の納得を得ることよりも、「結論」を決めることが最優先されてきました。
つまり、参加者の十分な納得がなされないまま決定されていたのです。
そこで登場したのが、会議の目的を「決める」ことから「参加者が納得する」ことに変えた会議「合意形成型会議」です。
そして、その合意形成型会議の進行役を「ファシリテーター」といい、そのスキルを「ファシリテーション」と言います。
会議の目的を「納得」することに変えることで、会議は見違えるように変わります。
そして、「結論を出せばいい」ではなく、「どのように参加者の合意や納得を得るか」と考えるとき、今までの会議とまったく違う会議のやり方が見えてきます。
では、合意を図るにはどうしたらいいのか?
それは、できるだけたくさんの意見を引き出すことです。
思いを十分に語ることにより合意が生まれるからです。
参加者の合意を図る基本は、活発な発言にあります。
そして、活発な発言が出るためには「自由な雰囲気」が必要です。
今までの会議のように緊張感で満ち溢れた会議では、自由に意見は出ません。
したがって、ファシリテーターのスキルには「自由な雰囲気をつくる技術」も必要ということになります。
だから、ファシリテーターは極力、意見の整理をしないほうがいいのです。
ファシリテーターが整理するのではなく、できる限り、参加者自身に出された意見の整理をさせる、それがファシリテーターの仕事です。
つまり、ファシリテーターとは「結論を出す会議」ではなく、「合意を図りながら結論を出す会議」の進行役のことを言うのです。
『「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本』すばる舎
釘山氏は、ファシリテーターのイメージは次のようなものだという。
「教えない」「目立たない」「リードしない」「引っ張らない」「意見を言わない」「仕切らない」「元気に話さない」「中立」「引き出す」「支援する」
そして、会議の「落しどころ」を考えないことだという。
つまり、会議を仕切らないこと。
昨今、様々な会議や勉強会で、このファシリテーションが使われている。
なぜなら、ファシリテーションが如何に有効かが知られてきたからだ。
かつての日本の高度成長のときは、トップダウンや、シャンシャンと拍手で強引に合意する会議でもなんとかなった。
しかし、狂騒の時代が過ぎ去った今、「多様性を認める」とか「働き方改革」や「地域貢献」、また「環境保護」をはじめとした「SDGs」等々の価値観が大きくクローズアップされるようになってきた。
誰もが、ファシリテーターのスキルを身につけなければならない時代になってきた。 |
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