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2019.1.19

センスは知識からはじまる

水野学氏の心に響く言葉より…

人間というのは技術がその時点の限界まで進歩すると、ノスタルジックな思いに身を寄せ、美しいものを求める傾向があると僕は思っています。

たとえば戦闘技術がピークを迎えて戦国時代が終わった時、大名たちは茶の湯や芸能に夢中になりました。

全国統一で世の中が落ち着き、美に目を向ける余裕ができたという見方もあるでしょう。

権力者が富とパワーを誇示するために美しいものを追求したという見方もあります。

しかし、僕の持論は、「技術からセンスへの揺り戻し」というものです。

戦国時代に技術力が当時のピークを迎えたために、安土桃山時代はセンスの時代になった…そこにはある種のノスタルジーもあると見ています。

歴史を眺めてみると、技術が劇的な進化を遂げるとセンスの時代が来て、しばらくするとまた技術の時代がやって来るという“サイクル”が感じられます。

IT革命によって人類は再び、かつてないほどの進化を遂げました。

産業革命同様、人類全体に大きな進化をもたらす情報革命です。

僕の仮説が正しければ、情報革命によって技術がピークを迎えたあとのこれからの時代は、センスの時代です。

「無料で世界中の人とコンタクトが取れる、すごい!」という感情は基本的に未来でなく過去に根差していると思っています。

ノスタルジーやなつかしさもフックになるに違いありません。

技術とセンス、機能と装飾、未来と過去。

こんなふうに遂になっている時代の間を、みんなが行ったり来たりしている気がします。

市場はすでに、センスの方向に動き始めているのです。

だからセンスのいい企業が成長し、センスのあるビジネスパーソンが求められているのではないでしょうか。

亡くなってしまったスティーブ・ジョブズという人は、経営者でもあり、クリエイティブディレクターでした。

彼は市場調査を重要視せず、自分の本当に欲しいもの、「みんなも本当は欲しいだろう」と自分が思うものを生み出す努力を続けてきました。

彼の能力の高さはアップル成功の重要なファクターです。

『センスは知識からはじまる』朝日新聞出版


水野氏は、本書の中で「センス」についてこう語る。

『センスとは知識の集積です。

だから、すべての仕事において“知らない”は不利です。

たとえば、イノベーションは、ゼロベースで何かをつくることではありません。

「1から2をつくる」「AにBを掛け合わせてCにする」そういった意味合いの言葉だと思います。

世の中にすでにあるAというものと、自分が見たことのあるBをくっつけて、Cというものを生み出す。

これを他かい打率でできれば優秀なクリエイターになれるはずです。

どんな人であって、ゼロからいきなりCがひらめくことは非常に稀です。

Aを知悉(ちしつ)していれば、Aダッシュを生みだすことが可能です。

Aに対する知識とBに対する知識が、「思いがけないこの二つを掛け合わせたらどうなるだろう」という発想を引き出し、Cを創造します。

意外な掛け合わせを生むには、より多くのD、E、F……という知識を蓄えていくことも大切です』

また、水野氏は、「センスとは、知識にもとづく予測である」とも言っている。

未来がどうなるかを完全に予測することができないが、大まかにどういう方向に進んでいくのかは、ある程度勉強し、情報や知識を集めればばわかってくる。

それが、過去の歴史を知り、現在の最新の情報も集めること。

また、同時に知識を入れるだけではなく、それを実際に使ってみなければわからないことが多い。

スマホを使っていない人に、いくらスマホのことを話をしてもわからないからだ。

多くの知識を手に入れ、それを使い、組み合わせて、自らのセンスを高めたい。



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