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2019.1.5

いちばん大事なのは動くこと

精神科医、和田秀樹氏の心に響く言葉より…

不安なことがあったらそれを1つずつ塗りつぶして、1点でも2点でもいいから安心材料に変えていくことが大事です。

これは、できることはやっておくという意味です。

あれもこれもではなく、かぎられた時間の中で打つ手は打っておくという意味です。

不安材料をすべて安心材料に変えてしまうという意味ではありません。

なぜなら、いちばん大事なのは動くことだからです。

実行する、トライアルしてみるということです。

準備に時間をかけてしまうと、ほとんどのチャンスは逃げてしまいます。

ビジネスの場合でも、たとえばやってみたい仕事があってそのチャンスを与えられたときに、「まだ経験が足りない」とか「データが不十分だ」といった理由でためらってしまうと、ほかの人間に持っていかれます。

そういうときはむしろ、「このチャンスがいい経験になるんだ」と考えてしまえば経験不足なんかは不安材料に入らなくなります。

「データは集まる分だけで十分」と考えれば、そのまま踏み出すことができます。

もう1つ大事なのは、万全の準備というのはかえって邪魔になるということです。

経験が豊富、データが十分ならどんなチャンスでも最良の結果が出るかといえば、そんなことはありません。

かえって「これはできない」「こういうケースは危ない」「もっと相手の出方を見たほうがいい」といった消極的な判断をしてしまい、結果として何も得られないことがあります。

現実のビジネスでは、過去の経験やデータがまったく役に立たないどころか、なまじ知識として持っていることで判断を誤る可能性だってあります。

それよりはむしろ、とにかくぶつかってみて、その反応の中であれこれ試していく人間のほうが、思いがけない幸運をつかむ可能性が高いのです。

万全の準備をすればそれだけ重装備になりますが、そのために身軽な動きができなくなると、幸運はスルリと逃げていってしまいます。

そういった意味では、運が強い人には少し向こう見ずなところがあります。

「あの人のやっていることは、わたしから見れば危なっかしいのだけどなぜかうまくいく。きっと運が強いんだな」と思わせる人が多いのです。

「わたしだったらもっと準備してからじゃないと動けない。あの人は『とにかくやってみるよ』と動いてしまう」

それは見切り発車といえばそうなるのでしょうが、本人はできる範囲での最低限の準備はしているつもりです。

たとえば初めて海外の国を旅行するなら、帰ってくるまでの交通費や滞在費、ガイドブック1冊、それと飲みなれた胃腸薬、ぐらいのものです。

仕事でも、「やってみたい」という気持ちがあれば、まずラフなプランを立てて動き始めます。

むずかしい問題にぶつかったら詳しい人に聞けばいいし、自分にできないことがあったら誰かの手を借りればいいのです。

たしかに、備えはないよりあったほうがいいのです。

でも運ということで考えるなら、十分な備えをつくるためにジッと我慢し続ける人より、「とにかくあるものでやってみよう」と動きだす人のほうがはるかに幸運をつかむ可能性が高いはずです。

ジッと待っていても「いいこと」はキャッチできないのですから、これは当然のことになります。

『「いいこと」を引き寄せる法則 (WIDE SHINSHO)』新講社ワイド新書

『草履片々(ぞうりかたがた)、木履片々(ぼくりかたがた)』という黒田官兵衛の言葉がある。

片足に草履、片足に木履(げた)を履(は)いた不完全な状態でも、人には走りださねばならない時があるという意味だ。

人はあわてていると、片足に草履、片足に木履を履いてしまうことがある。

ちゃんと履き替えた方が走りやすいに決まっている。

だが、そんな準備が不完全な状態であっても、人生には、走り出さなければならないときがある。

たった今、この時が、千載一遇のチャンスと、黒田官兵衛が秀吉に耳元で囁(ささや)いたと言われるのがこの言葉だ。

『やってみなはれ、やらなわからしまへんで』と言ったのはサントリーの創業者、鳥井信冶郎。

なにごともやってみなければわからない。

いちばん大事なのは動くこと。



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