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2018.12.4

こころの庭を手入れする

稲盛和夫氏の心に響く言葉より…

人生は、照る日もあれば曇る日もあります。

幸運がめぐっているときはもちろんのこと、災難に遭ったときにも、修行だと思い、自分が生かされていることに「ありがとう」と感謝することが、こころを清らかにし、運命をよい方向へ導きます。

私はこれまでずっと、そう自分に言い聞かせてきました。

私がまだ四つか五つのころ、父に連れられていった「隠れ念仏」でお寺のお坊さんが、ことあるごとに「なんまん、なんまん、ありがとう」と唱えなさいと言ったのも、そいう戒(いまし)めを含んでいたのでしょう。

「隠れ念仏」とは、江戸時代、薩摩藩に弾圧された一向(いっこう)宗の信者が、ひそかに守り続けた慣習です。

私の幼いころは、まだその風習の名残があったのでしょう。

しかし、そうはいっても、現実には人のこころは弱いものです。

いつもいつも感謝の気持ちを持ち続けることは、容易なことではありません。

困難や災いにぶつかれば、不平や恨み言を言いたくなって当然です。

かといって、物事が順調に進んでいるときなら自然と感謝の思いを抱くとも言い切れません。

調子がいいときは、それが当たり前のことに思えて、もっと大きな幸運、もっと強い満足というように欲望が膨れ上がってしまい、「ありがとう」の言葉など吹き消してしまいがちなのです。

このように人間はおろかなものだからこそ、まずは、何があっても感謝することを忘れないように自分の理性によく働きかけて、いつでも「ありがとう」と言えるように、こころの準備をしておくことが大事ではないでしょうか。

そして、たとえ逆境に立たされても、あるいは強欲な思いが頭をもたげても、悪い雑草を取り除くように、これだけで十分ありがたいと、「足るを知る」気持ちを持つように、普段からこころの庭を手入れすることが大切だと思います。

人間として正しいことをやっていれば、自ずと道は開かれるという信念の下に、私は自分自身の人生も企業経営も進めてきました。

そしてそれが成功したといえるなら、それは私や会社を支えてくれた家族、従業員、友人、知人、すべての人たちのおかげだと、今、こころの底から感謝しています。

そして、残る人生も変わらず、あらゆるものに対して、「ありがとう、ほんとうにありがとう」と、こころから素直に言えるような生き方をしていきたいと思っています。

『ありがとうおかげさま―いのちとは何か生きるとは何か』海竜社


稲盛和夫氏は、本書のなかでこう語る。

『豊かなはずの現代社会がすさんでいるのは、みんながこころの手入れをしないので、雑草が生え放題、こころが荒れ放題になっているからでしょう。

その大本(おおもと)をたどれば、戦後ずっと、おとなたちがこころの管理を重視せず、こどもたちにも教えずにきたというところに行き着きます』

どんなに勉強ができて有名な学校を出ていようが、優秀で才能があろうが、心の庭の手入れができていなければ、人は傲慢になったり、思いやりがなかったり、不機嫌だったりと、人としての品格や人格に欠ける人間になってしまう。

心の庭に生える雑草を摘み、きれいに整えるには、「ありがとう」と「おかげさま」を言い続けること。

「ありがとう」はしあわせを運ぶ魔法の言葉。

そして…

「いいことはおかげさま  わるいことは身から出たさび」(相田みつを)

どんなときも、こころの庭の手入れを怠らない人でありたい。



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