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2018.11.18

成熟した大人のとるべき態度

美輪明宏氏の心に響く言葉より…

もう古い話ですが、ある人気タレントが結婚したとき、テレビも雑誌も、まるでお祭りみたいに騒ぎたてていました。

私は、なぜ、若い女の子たちがあの人を目標にしていたのかがわかりません。

大人の女とはほど遠い、舌ったらずな喋(しゃべ)り方で「娘のほうが大人で私のほうが子供だ」なんて臆面もなく言って、喜んでいる幼稚さ。

歌にしたって、あれは30半ばをすぎたおばさんの歌う内容ではないでしょう。

恋だ恋だと、鼻をならして叫んでいるだけで、少しも心に響いてきません。

30過ぎた人間には、30過ぎた人間の歌うべき歌い方、表現方法というものがあるのです。

はたちの成人式も過ぎたおばさんタレントや30過ぎのおばさんタレントが、“ワタチ、カワユイデチョ?”と媚(こび)の押し売りをしているのは、ほとんど凶悪犯罪だと思います。

中には、50歳を過ぎたヒーおばあさんが、何十年も昔「可愛かった」と言われた言葉にしがみついていまだに“婆ちゃん嬢ちゃん”よろしく可愛ぶってみせているのは、真に悲惨この上ない見世物で、そぞろ人の世の哀れを覚えます。

今の日本人は小粒で、子供のまんま、未成熟のまんま、ストップしてしまう。

ファッションも恋愛も生き方も、すべて中途半端。

それに今の人は、知識がなさすぎます。

過去の様々な種類の歴史に残る人物たちのことをよく調べてごらんなさい。

もっと激しくすさまじい女たちが過去にたくさんいたことを知らずにいるのは人生の損失ですよ。

私は身の上相談を25年やってきているけれど、2〜3回の結婚なんて少しも珍しくないんです。

4〜5回、出たり入ったりする人だっていっぱいいます。

歳の差だってそう。

6歳の開きくらい、別に驚かない。

32歳年下の男性と結婚している人を私は知っています(笑)。

とにかく、そうやって皆くっついたり、離れたりしてトラブルも起こしたりするわけだけど、それぞれのカップルのことは、他人にはけっしてわからない。

けんかばかりしていても、結局のところとっても仲がいい…という人たちもたくさんいますしね。

ことほどさように、男女のことに関しては他人がとやかく口出しすべきものではないんです。

成熟した大人はそれを放っておくべきです。

たとえば、フランスなんかは、皆それをわかっている。

マスコミがミッテランの愛人問題をスキャンダラスに書きたてても誰も相手にしない。

それどころか逆に「プライバシーをとやかくいうのは下品だ」と国民から袋叩きにあってしまう。

それだけ成熟しているということでしょう。

だけど、日本は覗(のぞ)き見趣味で芸能人のプライバシーをPTAや小姑だかのように騒ぎたてる。

聖人君主ヅラをして。

しかもいい歳した分別もってしかるべき男たちが、芸能レポーターと称しては、誰それが子供を生んだとかその人の仕事とはまるで関係のない、瑣末(さまつ)なことばかり思い上がった裁判官ヅラして暴きたてる。

なんて恥知らずなことでしょう!

仕事さえきちんとやって他人に迷惑さえかけなければ、プライベートは何をしてもいいと私は思います。

あとはその人の勝手。

責任を持つのもその人だし、不幸になるのもその人なんです。

だから、私は他人の結婚相手なんて、微塵(みじん)も興味が湧かないんです。

好きな人といっしょになればいいし、捨てられるんだったら捨てられればいい。

どうぞご勝手に…。

そして、その人が困って相談にきたときには、初めて真面目に興味を持って相談にのってあげればそれでよいのです。

『天声美語』講談社


往々にして、結婚している人は結婚していない人を裁きたがる。

いわく、「子どもがいないと寂しくない?」「孤独死とか大丈夫?」「老後の生活、不安じゃない?」「病気のとき誰か看病してくれる人いる?」等々。

いずれも、余計なお世話だ。

成熟した大人は、自律した人。

自律した人は、自分の行動に責任を持てる人。

だから、他人のプライバシーには関心がない。

自分の行動を棚にあげて、他人を裁きたがる人は成熟していない「子ども」。

「他人のズルを許せない」「不謹慎な人を叩く」「目立つ人を許せない」というように自分の勝手なルールで人を裁いたり、正義感をふりかざす。

その根底にあるのは「嫉妬心(しっとしん)」。

成熟した大人のとるべき態度を身につけたい。



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