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2018.11.5

知らないことを否定せず、素直になること

佐藤芳直氏の心に響く言葉より…

《知らないことを否定せず、素直になることだ。無駄なことなど一つもないのだから。》

「一番程度が悪いのはね、知らないことを否定してしまうことだよ」

笑顔ではあるが、明らかに怒気を含んだひと言でした。

輪廻転生の話が、若手社員に語られていたとき、誰かが笑いながら首をかしげた。

そのときのひと言だったのです。

舩井幸雄先生が、人は生まれ変わるという一つの哲学に至ったきっかけは、先の奥様が29歳で若くして急死したことでした。

後には、乳飲み子が残されました。

寒い季節、朝見送ってくれた奥様が、夕方には亡くなっている。

そんな悲しい経験。

水屋には、いつまでもお昼に用意していた食事が残っている。

葬儀の後、その水屋を見ながら先生は考えたと言います。

「人はなぜ生まれてきて、なぜ死んでゆくのか?生まれてきた理由は何か?そして死にゆく理由は何か?」

それから先生は、ただ一途に人間の生まれる理由、そして死んでからどうなるのかを探求するのです。

スウェーデンボルグ、イアン・スティヴンソン『前世を記憶する20人の子供』、エドガー・ケイシ―…。

さまざまな探求のなかで、先生は、一つの結論に至ります。

「ほとんどの人は死ぬと、また人に生まれ変わると思われる。そのように現在の地球上の構造やルールはなっているからだ」

舩井先生が1980年以降、『包みこみの発想』という名著以降、生まれ変わりについて講演で話したり、著書で書いたりすると、社内ですらオカルト呼ばわりする人間が出てきました。

そのときも、そうでした。

「確かに死んだことがないし、前世の記憶もふつう我々にはない。生まれ変わりがあるかもしれないし、ないかもしれない。しかし、知らないこと、わからないことを、はじめから否定はしないことだよ」

とても穏やかに語る舩井先生の言葉を聞きながら、先生のつくった“成功の三条件”の意味を教えられたように思えたのです。

一 勉強好き

二 プラス発想

三 素直

成功する人間に共通するこの三条件を、成功の三条件と言います。

舩井総合研究所の社屋の入口には、この三条件が、舩井先生の自筆で刻み込まれています。

私にとっても、いや、舩井幸雄先生と接したことがある人間なら、すべて心の財産としている三条件でしょう。

勉強好き。

それは知らないことを知ろうとすることです。

知らないことを知ろうとすること、それは人間の成長の原動力ともいえます。

老人とは、その知的好奇心を失ってしまった人間を指すのです。

プラス発想。

人間はできない理由を100でも200でも並べることができます。

しかし、できない理由をいくつ並べても、何も変わりません。

できる方法を見つけるのです。

コップ半分の水を、もう半分しかないととるか、まだ半分あるととるか…。

人生は、そこで大きく変わるものです。

素直とは、何でしょうか。

よいと思ったことを、すぐに取り入れること。

悪いと思ったことをすぐにやめることです。

それは、知らないことを決して否定しないことです。

知らないことを否定した瞬間、その先にあるかもしれない気づきも、感動も失われてしまいます。

人間は知らないことを恐れて、自ら道を閉ざしてしまう人と、知らないことに感動し、その道の奥を覗きたい!と思う二つのタイプに分けられます。

舩井先生は明らかに後者です。

だからわかるのでしょう。

「世の中に無駄なことなど一つもない。だから知らないことを否定しても、よいことは一つもないじゃないか」と。

よく思うのですが、人の一生は思いのほか短いものです。

その一生のなかで懸命に生きて何かを残そうとします。

人間は何を残せるのでしょう。

それは自分の生き様そのものだと思います。

今生で永遠の生命を望む者はいないでしょう。

だからこそ、永遠に語り継いでほしい、あるいは子や孫に覚えておいてほしい生き様を刻もうとします。

資産や財産を残すこと以上に、自らの生き様を残そうとする思い。

そこに、人間の切実さがあります。

「そうだよ。生き様だけが多くの人の勇気となり、人を惹(ひ)きつけるんだ」

舩井先生はそう言ってくれました。

とすれば、人の記憶に残る生き様を残そうと、人間性を磨き成長させ、今世の役割を果たすことこそが、生まれてきた目的だと思うのです。

よりよい、より尊い魂として、この短い人生で叶えられる自己の成長、その成長は、次の世、そして次の世へと引き継がれなければなりません。

過去における行いが、現在における幸不幸を決め、現在の行いに応じて未来の幸不幸が決まるというルール。

そのルールは、果てしなき時の流れのなかで人間が築いてきた一つの価値観です。

いまの私たちの生は、いまだ未熟な魂を教育するためにあると考えます。

だからこそ、今生という時間を味方にして、私たちはプラス発想で学び続けなければならないと思うのです。

『一流になりなさい。それには一流だと思い込むことだ。 舩井幸雄の60の言葉』マガジンハウス


目に見えないことや自分の知らないことをすぐに否定する人がいる。

これは老若男女問わず一定数存在する。

それが、素直でない人。

松下幸之助氏は「素直」についてこう語っている。

『素直な心とは、寛容にして私心なき心、広く人の教えを受ける心、分を楽しむ心であります』

分を楽しむとは、置かれた場所で、花を咲かせるということ。

素直な人は、文句や愚痴や不平不満を言わず、何事も否定しない。

肯定的な心からしか、感動や、驚きや、パワーは生まれない。

勉強好きで、プラス発想で、素直な人をめざしたい。



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