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2018.10.8

未来は、自分が属していない分野の知見も必要になってくる


坂口孝則氏の心に響く言葉より…

私はこれからの時代の特徴を次のようなフレーズで考えている。

そして、これが、自分が属していない分野の知見も必要になってくる理由でもある。

《人生100年、会社10年》

ひとびとはこれから100歳まで生きるようになる。

しかし、会社というプロジェクトの寿命は10年と短くなっている。

一つの職業の寿命がひとびとの寿命よりも短くなったとき、ビジネスパーソンは複数のスキルを身につけなければならなくなる。

さらに、一つの会社ではなく、複数のコミュニティに属し、異なる発想を摂取しなければならない時代に私たちはいる。

いま属する業界だけではなく、積極的に他業界の情報収集が必要だ。

《つまらないβ主義》

かつて、「リーンスタートアップ」が流行した。

これは単純にいえば、商品を未完成の段階で市場に出し、顧客からのフィードバックを受けながら改善していくものだ。

これはβ(テスト・サイトやテスト・バージョン)主義ともいうべき態度だ。

しかし、これだけ市場に参入する企業が多くなってくると、むやみやたらに商品を発売してもうまくいかない。

顧客の声を得るにいたらない。

もちろん撤退すらその速度で繰り返していって、いつかは当てる多動力、出たとこ勝負力は重要だ。

ただせっかく多動力を発揮するなら、同時に、勝負する領域についてデータを徹底的に調べ、仮説に基づいた未来予想をもって進むにこしたことはない。

すくなくとも時代の流れに反していなければ、反応はある。

努力は比較的に報われる。

新規事業への参入時に、「既存の技術を応用したもの」「新規の技術を開発するもの」という軸と、「これまでの業界を攻める」「新たな業界を攻める」という軸がある。

もっとも良いのは、「既存の技術を応用したもの」で、「新たな業界を攻める」ものだろう。

成熟産業であればあるほど、イノベーションが進んでいないから、新たな技術でそれまでの常識を覆せる可能性が高い。

その意味でも、他業界の動向は、ビジネスチャンス発想のきっかけになるだろう。

《目指すは「何屋さんかわからない」仕事》

業界横断知識をもつことは、金儲けだけにはとどまらない。

これからの価値創造は、そういった立脚点のふらふらした個人から生じるのではないだろうか。

かつて、コンサルタントを名乗る私に、「カタカナ職業のひとは信用しないようにしている」とあからさまにいうひとに出会った。

ぱっと何をしているひとかわからなければ、“うさん臭い”そうだ。

知が多様に広がっていく世界…違う言葉で「複雑系」といってもいい…においては、ジャンルの横断、越境、溶解が必要だ。

まわりを見てみればいい。

現在、社会を切り取っているひとはどんな職業に当てはまるだろうか。

一つだけに当てはめられはしない。

科学者で、経営者で、アーティスト。

写真家で、コンサルタントで、大道芸人。

会社員でありながら、マンガを販売し、社会についてリアルな経済状況を旅しながら語ったりする。

そんなハイブリットな知が求められている。

それは世界がもはや、一つの知からの堅苦しい会社を忌避しているように私には思われる。

新商品創造にも、事業開発にも、異質なる観点が必要なのだ。

目指すは「何屋さんかわからない」仕事といってもいいすぎではない、と私は思う。

『未来の稼ぎ方 ビジネス年表2019-2038 (幻冬舎新書)』幻冬舎新書

東京都で民間初の中学校校長になった藤原和博氏の「仕事の広げ方」の話がある。

これからの稼ぎ方としては、1つの分野でプロになる(例えば、美容師や調理師)だけでなく、もう1つの分野でプロになる(例えば、講演家や小説家)。

さらに、3つ目の分野でプロになる(例えば、芸術家や漫画家)と、それはさらに希少価値が高まる、ということ。

そして、その3つの分野は離れていればいるほど(関連しなければしないほど)良い、という。

未来は予想もつかない速度で進化し続けている。

時代に遅れないためには、新しいことやモノに興味関心を持ち、変化することを恐れないこと。

そして、何事にも好奇心を持って当たること。

これからは、自分が属していない分野の知見を広げ、ジャンルの横断、越境、溶解を進化させ、「何屋さんかわからない」仕事を目指すこと。

そして、すべてにおいて、異質で創造的な観点を持つ。

さまざまな分野において、好奇心旺盛(おうせい)でありたい。


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