2018.9.15 |
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荒々しい「野心」 |
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日本経営合理化協会、牟田學氏の心に響く言葉より…
《荒々しい「野心」》
創業者と比べて、二代目に欠けているものは「野心」である。
社長業に大事な要素はいくつもあるが、まず筆頭に挙げるものは、「野心の有無」である。
しかも生涯にわたって持続する野心の有無こそ、社長を長く続けていく必須の条件である。
もちろん、社長にはいろいろな必須要素がある。
視野が広いこと、先見性があること、危機に強いこと、体力やタフネスがあること、運がよいこと、情に厚いこと、頭脳が明晰であること、実行力があること、勇気があること、良い商品や得意先に出会うこと…と、業種・業態、時代、場所によっても要求されることの序列が異なる。
しかし、「野心」があることは、荒々しい心のスタートである。
だから、一番目に挙げるし、それがないと始まらない素質なのだ。
野心は、最初から人に具(そな)わっているものではない。
突然の激しい環境の変化によって、瞬時に悟るような心の変化といってよい。
私の親しい友人の息子は、生まれつき裕福であった。
親父は、創業した会社を上場させたし、本人も一流の大学を卒業していた。
生まれつきの金持ちだったから、社会的に地位の高い経済人や政治家にも、臆せず接していた。
贅沢の味が身に付いていた。
品性高く、格好も良かった。
しかし、親父の突然の死に接してから、本当の苦労を経験するようになった。
会社は、かつての親父の部下が後継するように決まったが、誰もが、数年の後に息子にバトンタッチされるものと信じていた。
ところが、人生は思いがけない方向に進むもので、バブルの崩壊と一緒に、業績が低迷するに至って、いわば「純粋だ」という人格が災いして、次の社長交代時には後継者から外されてしまった。
経営は、順風だとは限らない。
むしろ、逆境ばかりの連続だと考えたほうがいい。
そうすると、資質に、危機に強いことが大きく必要とされるし、悪い表現だが、「すすどしい(すばしこい)」「ぬけめがない」とか「めざとい」とか、心のタフネスが重要になってくる。
そういう要素は、貧乏の中にあって鍛えられることが多い。
しかし、単なる貧しいとかいうものでは得られない。
貧乏という環境にあっても、「野心」をもっていなければ得られない。
「金持ち」は地位の高い人々に臆せず接し、視野を広めるのに役立ち、「貧乏」は危機に強く、心のタフネスを育てるのに役立つ。
後継者には「贅沢の味」と「貧しさの味」の両方を経験させることだ。
『社長のいき方』PHP研究所
齋藤孝氏は「野心」についてこう語る。
『「Boys, be ambitious!」(クラーク博士)は「少年よ大志を抱け」と訳されますが、今は「大志」といわれてもインパクトがありません。
今の時代なら、「若者よ、もっと野心的であれ」という方がしっくりきます。
野心を持って、もっと上を狙っていくということ。
野心といっても、猛々しさや強欲さではありません。
現状に甘んじることなく、向上心を持ち、やる限りはトップを目指して道を切り開いていくようなイメージです』(逆転の発想法・KKロングセラーズ)より
「野心」や「野望」という言葉には、「大きな望み」や「新しいことに取り組む」というポジティブな意味の他に、「たくらむ」とか「(分不相応の)よくない望み」というようなネガティブなニュアンスもある。
しかし、あまりにソフィスティケート(都会的に洗練)されすぎてしまうと、ギラギラしたむき出しの感情がなくなってしまう。
それは、野性的なパワーがなくなるということ。
野性味が失われると危機に弱くなる。
今こそ、若者には…
荒々しい「野心」が必要だ。 |
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