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2018.8.5

人生は、好奇心に始まって好奇心に終わる

精神科医、斎藤茂太氏の心に響く言葉より…

オーストリアのザルツブルクというところで生まれたモーツァルトは、35歳という若さで亡くなりましたが、ベートーヴェンなどの、他のどんな作曲家よりも、熱烈なモーツァルト・ファンが、圧倒的に多いのはよく知られたことであります。

私も、モーツァルト解説本の「推薦文」を書いたことがありますので、どうしてこんなにモーツァルトの曲は多くの人を魅了し続けるのか、私なりにわかってはいるつもりです。

そんなモーツァルトを、50代の私の友人は、いみじくもこう言ったのです。

「クラシック音楽は、モーツァルトに始まってモーツァルトに終わる」と。

そう言えば、「釣りは、フナに始まってフナに終わる」という言葉もありました。

「釣りバカ」には常識の名言だそうです。

そこで、これらのふたつの言葉になぞらえて、私は次のように言いたいと思います。

「人生は、好奇心に始まって好奇心に終わる」と。

人生を面白くするか、つまらなくしてしまうか、それは、時代のせいでも国のせいでも、また他人のせいでもありません。

自分のこころの持ち方ひとつで、どちらにも変わってしまうということです。

ですから、自分の不幸を誰かのせいにしたがる人は、生涯、こころから納得できる幸せは得られないでしょう。

生涯にわたって幸せを感じるこころの持ち方とは何か、を考えてみたとき、私のこころに浮かぶ言葉は、やはり「好奇心」の一語です。

好奇心をひとつのキッカケにして、何でもプラス方向に、目を向けることを教えてくれた最初の人は、母・輝子でした。

父・茂吉もまた、同じく、超のつくくらいの好奇心の持ち主でしたから、こと好奇心にかけては、私は生まれながらにして、恵まれていたということになるわけです。

「好奇心のかたまり」という、人間としての品格を感じさせないような言葉もありますが、それは好奇心そのものにあるのではなく、その人間の問題です。

私が、あえて好奇心とモーツァルトを同じ舞台に乗せたのは、極めたい最高の対象として、同列に考えてみたいと思ったからです。

『人生に必要な100の言葉 (青春文庫)』

「大病にせよ、大失敗にせよ、人生のすべてを観察というか、好奇心の対象として眺めるゆとりを持つ限り、人は必ず再起できるものなのだ」

城山三郎氏の言葉だ。

何か大きな問題が自分に降りかかってきたとき、自分を客観視できる人はその問題に押しつぶされることなく、いつか必ずそれを解決できる。

反対に、それを主観的にしか見られない人、ひとりよがりで、独善的な見方しかできない人は、表面的で狭い視野になってしまい、問題を本質的で深い所まで掘り下げることができない。

好奇心のある人は、面白がって考えることができ、柔軟で幅広い見方ができる。

「好奇心というのは道草でもあるわけです。確かに時間の無駄ですが、必ず自分の糧になる」(手塚治虫)

好奇心とは、新しいことや、知らないこと、珍しいことなどに対して、興味や関心を抱き、それをもっと知りたい、手に入れたいと思う心。

「人生は、好奇心に始まって好奇心に終わる」

いくつになっても、好奇心を忘れない人でありたい。



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