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2018.7.26

若きリーダー

藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…

明治4(1881)年11月12日、明治新政府の事実上の首班である右大臣岩倉具視(ともみ)(47歳)を団長に、総勢107名(使節46名、随員18名、留学生43名)の使節団が欧米諸国を目指して横浜から出発した。

約300年続いた江戸幕藩体制を実質的に崩壊させた廃藩置県の強行から僅(わず)か4か月後である。

不満をいだく大名や武士が反乱を起こしても不思議はない状況にあった。

その中を大久保利通(42歳)、木戸孝允(たかよし)(39歳)、伊藤博文(31歳)という新政府の中心人物が揃って、予定では10か月にわたり14か国を歴訪する海外視察の旅に出たのである。

使節団の目的は2つ。

江戸幕府時代に締結された不平等条約の改正と欧米諸国の研究。

日本の国家のあり方を定める礎(いしずえ)にしたい、という思いからの旅立ちだった。

留守政府を預かったのは太政大臣三条実美(さねとみ)(35歳)、参議の西郷隆盛(45歳)、板垣退助(35歳)、大隈重信(34歳)。

出発の6日前、三条実美は使節団と留守政府の主要メンバーを自宅に招いて送別の宴を開き、こう激励した。

「いまや体制維新。海外各国と並立(へいりつ)を図るに当たり、使節を絶域万里(ぜついきばんり)に奉ず。外交内治前途の大業その成否、実にこの挙にあり」

送るほうも送られるほうも、新国家建設の使命に燃えていた。

当時の若きリーダーたちの意気込みが溢(あふ)れたスピーチである。

使節団はアメリカを皮切りに行く先々で熱烈な歓迎を受け、旅は延びに延び、結果として632日の世界一周旅行になった。

この旅に「愚挙」「壮挙」と評価は分かれたという。

だが、当時のリーダーが世界の中の日本を知り、日本の針路を誤らずに今日に導いた事実を見れば、「壮挙」であったことは確かである。

当時のリーダーはリーダーたるにふさわしい器量を備えていた、といえるのではないだろうか。

何よりも特筆すべきは、彼らの溢れんばかりのバイタリティであり楽天性である。

そのバイタリティと楽天性が野放図(のほうず)に流れず、「武」と「学」の鍛錬によって陶冶(とうや)されている。

彼らの人間的迫力、人間的器量はそこに起因している。

1にバイタリティ、2に楽天性、3に絶えざる自己修練。

この3つはいつの世もリーダーに欠かせない資質といえる。

国も会社も家庭も、そこにどういうリーダーがいるかで決まる。

どういうリーダーがいるかで、国、会社、家庭の浮沈(ふちん)、盛衰が左右される。

いつの時代も問われるのは、リーダーの器量である。

『小さな人生論5 (小さな人生論シリーズ)』致知出版社


時代が大きく変わろうとする時代の節目は、若者のリーダーが多く輩出する。

明治維新や、今がその時だ。

海外を見渡しても、政治家も、起業家も、若い人が圧倒的に多い。

なぜなら、時代の変化のスピードが早ければ早いほど、年配者はついていけなくなるからだ。

年をとればとるほど、しがらみや、義理や束縛が増え、変えることができなくなる。

若きリーダーに必要なのが…

「1にバイタリティ、2に楽天性、3に絶えざる自己修練 」

若きリーダーが次々と活躍する時代がやってきた。



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