2018.4.8 |
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五次産業化 |
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伊那食品工業会長、塚越寛氏の心に響く言葉より…
社員が幸せに暮らせるためには、会社が雇用を維持・創出していくことが欠かせません。
会社が年々、少しずつ成長することによって、新たな雇用を生み出せば、人の幸せや社会の安定につながります。
ものづくりを中心に経済成長をつげてきた日本は、現在、大きな産業の転換期にさしかかっています。
戦後の復興を支えてきた二次産業が、高度な機械化やロボット化、IT化を進め、また製造拠点を海外へ移転するなどの合理化を進めてきたことによって、ものづくりの現場で以前ほど人が必要なくなってきました。
一国における就業人口の分布は、一次産業から二次産業へ、二次産業から三次産業へと移っていきます。
フランスやイタリアなどで顕著なように、二次産業分野でのブランド化を進めると同時に、ホテル業や飲食業など、三次産業の育成によって、新たな雇用を生んでいくのです。
観光業の発達にも、そうした背景があります。
日本でも、製造業での雇用が少なくなった分だけ、三次産業の正しい成熟による新たな雇用が求められています。
しかし現状は、三次産業での雇用創出がまだ十分ではありません。
二次産業の会社が雇用を維持・創出するために、これからは「五次産業化」の取り組みがますます重要になってくると思います。
五次産業とは、「二次+三次」の発想から名づけたものです。
生産から消費者への販売まで、一貫して行う事業のあり方です。
メーカーが五次産業をめざすには、二つの段階があります。
最初に、消費者に直接売れる商品をつくること。
そして次に、自社の商品を、自分たちで消費者に売ることができるしくみをつくることです。
自社製品の研究開発による下請けからの脱出には、時間はかかりますが、長期的な視野をもって、あきらめずに取り組んでいく価値はあると思います。
また、自社の商品を直接販売するしくみをつくれば、お客様の声を直接いただくことができます。
当社もかつては、販売力が弱く、作った寒天のほとんどを大手企業に納めていた下請けの時代がありました。
売上高の七割を、輸出が占めていたこともありました。
会社のあるべき姿をめざして、下請けや過度の輸出依存から脱却する決断をしたからこそ、今の当社があるのです。
製造業の五次産業化には、手間と時間がかかります。
初めから一人前の対応ができなくてもいいのです。
日々、直接にお励ましやご助言をくださるファンのお客様とふれあうことの楽しさや喜びは、社員にやる気と誇りをもたらしています。
『新訂 いい会社をつくりましょう』文屋
塚越氏は本書の中でこう語っている。
『会社経営の目的とは、人や社会の幸せに貢献することだというのが、私の信念です。
会社の本来あるべき姿とは、社員の幸せをつうじて、いい会社をつくり、社会に貢献することだと思っています』
また、そのためには学びが必要で、学ぶ目的については、二宮尊徳先生の遺訓がある。
『翁曰く
人、生まれて学ばざれば、生まれざると同じ
学んで道を知らざれば、学ばざると同じ
知って行うこと能(あた)はざれば、知らざると同じ
故(ゆえ)に、人たるもの、必ず学ばざるべからず
学をなすもの、必ず道を知らざるべからず
道を知るもの、必ず行はざるべからず』
せっかくこの世に生を受けたにもかかわらず、学ばないということは、生まれてこなかったのと同じこと。
学んだとしても、人として本来歩むべき道(魂を磨くこと)を知らなければ、学ばなかったのと同じこと。
仮に知ったとしても、それを実践しなければ、知らなかったのと同じ。
いい会社をつくるため、日々学びと実践を重ねたい。 |
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