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2018.3.11

創造性の高い人とは


アダム・グラント氏の心に響く言葉より…

大人になって(スティーブ・ジョブズがいうところの)「宇宙をへこませる」ような人がどういう人かを考えてみると、まず頭に浮かぶのは“神童”だろう。

2歳で字が読めるようになり、4歳でバッハを弾き、6歳で微積分をゆうにこなし、8歳までに7ヵ国語を流暢(りゅうちょう)に話せるようになっているような天才児たちだ。

クラスメートは羨望(せんぼう)のまなざしで彼らを見る。

けれどもT・Sエリオットの詩の言葉を借りると、天才児のキャリアは「地軸くずれるとどろきもなく、ただひそやかに」終わる傾向があるのだ。

実のところ、神童と呼ばれた人が大人になって世界を変えることはまれだ。

心理学者の研究によると、歴史上もっともすぐれ、多大な影響をおよぼしている人たちは、子ども時代にはさして才能に恵まれていたわけではない。

天才児を大勢集めてその一生を追跡してみたとしたら、同等の家庭環境に育つふつうの子どもたちよりも、とくに優れているわけではない。

これは直感的に理解できることだ。

才能に恵まれた子どもたちは、学問的な知識は優れているけれども、社会でうまく生きていくための知識に欠けていると、みな思うだろう。

知的な能力があっても、社会的、感情的、実践的なスキルに欠けているのでは?

だが研究の結果を見てみると、この説明では不十分なのだ…才能に恵まれた子どもたちのうち、社会的問題や感情的問題に苦しんでいるのは、4分の1に満たないのである。

大部分はうまく社会に適応しており、社交の場であるパーティでも国語検定大会と同じように楽しく過ごしている。

ではなぜ、天才児は才能にも野心にもあふれているのに、世界を進歩させるようなことを成し遂げられないのかというと、「オリジナルであること」、つまり独自のことや独創的なことを率先して行う術(すべ)を学んでいないからだ。

カーネギー・ホールで演奏したり、サイエンス・オリンピックで優勝したり、チェスのチャンピオンになったりするうちに、悲しい結末が待ち受けている。

訓練で技術は完璧になるが、新しいものを生み出すことができなくなるのだ。

才能ある子どもたちは、高尚なモーツァルトのメロディーや美しいベートーベンの交響曲を奏でるようになっても、自分では作曲をすることはない。

既存の科学的知識を吸収することには労力を注ぐが、新しい知識を提供することはない。

独自のルールやゲームを考え出すのではなく、既存のゲームで体系化されたルールにしたがっている。

そして全過程において、両親からの承認や教師の称賛を懸命に得ようとしている。

研究によると、創造性のもっとも高い子どもたちはむしろ、教師に好まれないことがわかっている。

ある研究では小学校の教師に、お気に入りの児童と気に入らない児童をあげてもらい、リストに示されている特徴に照らして、両グループの児童を評価してもらった。

その結果、もっとも気に入らないと評価された児童は、まわりに同調せずに自分独自のルールをつくる子たちであった。

教師は創造性の高い児童を冷遇し、問題児としてあつかう傾向がある。

そのため、多くの児童はルールにしたがうことを素早く学び、自分だけのユニークな考えを胸にしまっておくようになる。

作家のウィリアム・デレシーウィックツの言葉を借りると、「このうえなく従順な羊」へと変貌(へんぼう)を遂げる。

『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 (単行本)』三笠書房


古来、どの時代においても、成功した人、生きのびてきた人たちに最も必要なのは、オリジナリティや独創力だ。

ITやAIが発達する現代は、ますます個性的なことや独創的なことが重要視される時代となった。

ルーティンの仕事や一般的な事務や作業のほとんどが今後AIに置き換わってくるときに必要なのが、AIにできない仕事、つまり、マニュアルにない仕事や、まったく新しいものを作る力や、対人関係能力だからだ。

特に、新しいものを創り出していくことはロボットはAIにはできない。

親や教師は、「他人に迷惑をかけないこと」や「波風を立てないこと」、「ルールに従うこと」を重視する。

そして、それが行き過ぎると、他人と違うことを否定するようになる。

親や教師やリーダーは…

人の創造性の芽をつぶさない人でありたい。


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