2018.2.22 |
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ほめる達人には「驚き」がある |
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精神科医、名越康文氏の心に響く言葉より…
「驚く力」は、仕事はもちろん、読書や映画鑑賞、あるいは子育てや家事、ご近所づきあいまで、僕らが生きる日常のあらゆる場面で応用することができます。
ただ僕は、その中でもとりわけ学校の先生や、会社で部下を率いている人、あるいは子育て中の親御さんといった、人を教育し、導く立場にある人に、この「驚く力」のことを知り、考え、活用してもらいたいと考えています。
例えばよく「ほめて伸ばす教育」ということが言われます。
でも、「ほめてあげる」という姿勢には、「ほめる人」の感動が感じられません。
上から目線で、心が動かされて感じがありませんよね。
一方、本当に上手に人をほめる人というのは、必ず非情に豊かな「驚く力」を持っています。
というのも、ほめる人が驚いているかどうかは、子供や生徒など、教えられる立場の人に必ず伝わっているからです。
そして、ほめる側の心に「驚き」が伴ったときの「ほめ」には、そうでないときの何倍もの力が宿る。
つまり、「驚き」には、人を導く力があるんです。
子供や生徒が何かをできるようになったときに、「え!こんなことができるのか!」と素直に驚くということ。
子供や生徒の中に、自分たちが想像もしなかった何かの存在を認め、それを自分の中に取り入れて「すごい!こんな可能性もあったのか!」と驚くということ。
そういう「驚く力」にあふれた人の「ほめ」には、人を動かす力があります。
学ぶ人にも、学ぶ人を導く人にも、「驚く力」は欠かせない資質だと思います。
驚きのない学びに力がないのと同じように、驚きのない「ほめ」は、決して人を動かしません。
「驚く力」を大切にして、自分がまだ知らない何かを発見していることを楽しむということ。
その姿勢が学びを深め、情熱を育むのです。
『驚く力ーーさえない毎日から抜け出す64のヒント』夜間飛行
行徳哲男氏はこう語る。
『「武蔵野」を書いた国木田独歩の短編小説に 「牛肉と馬鈴薯」という作品がある。
その中で主人公が一番の願い事としていること、それは政治家になることでもない。
事業家になることでもなければ、哲学者になることでもない。
もしこの願いさえ叶えられるならば、 他は何もいらないと言っているもの。
それは、どんなことにでも「ハッ!」と 出来る人間になることである』
どんなことにも「ハッ!」と出来る人間は、感性豊かな人だ。
感性が鈍(にぶ)っていたら、驚くことも、 感動することも、 泣くこともできない。
「ほめる」ことが大事なのは言うまでもない。
しかし、心がこもってない「ほめ言葉」ほど空虚なものはない。
心をこめるには、「驚き」や「感動」が必要だ。
「驚き」とは、どんなことにでも「ハッ!」とできること。
ほめる達人には「驚き」がある。 |
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