2018.2.5 |
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人は言葉遣いで判断される |
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川北義則氏の心に響く言葉より…
人生で、言葉遣いはことのほか大切だ。
使い方一つで人生が180度変わる。
この事実に私たちはどこまで気づいているか。
レディーガガがタイでの公演中に、ツイッターで「偽物のロレックスを買うわ」とつぶやいた。
この発言を一部のタイ人が「わが国を侮辱している」と怒り、タイ当局はアメリカ大使館に抗議する騒ぎにまで発展した。
彼女は冗談のつもりだったろうが、ちょっとした一言がこんな大事になるのだ。
就活の面接でも、言葉遣いは決定的な意味を持つ。
容姿や表情、態度などで第一印象をよくしても、受け答えでミスしたら、とても合格はできない。
ケンカのときに、興奮して、つい地を出してしまう人もいる。
お金持ちの令嬢とつきあっている男がいた。
彼はどうしても彼女を手に入れたくて、とくに言葉のやりとりには慎重を極めた。
だが、あるとき怒りのあまり思わずいってしまった一言、「テメェ」がすべてをおジャンにしてしまった。
政治家は失言で政治生命を失うこともあれば、経営者も不祥事の際に「知らなかった」といって退陣に追い込まれるケースもある。
何気なく発した自分の一言が、意図を超えて独り歩きし、悪く受け取られたり、批判の対象にされる。
「そんなつもりで、いったのではない」
いくら弁解しても、一度口から出た言葉は、もう元には戻せない。
ネットのブログで、 些細な批判を受けた男が、ムキになって相手を罵倒する言葉を使ったところ、その男をよく知る人間から思わぬ過去をバラされて、会社をクビになった例もある。
いくら気をつけていても、一度発信してしまった言葉は、全世界に拡散してしまう。
写真や身元が特定できる場合、世界のどこから誰が何をいってくるかもわからない。
思えば恐ろしい時代になったものである。
こんな時代に必要なことは何か。
言葉に関する感性を磨くこと。
語彙を豊富にすること。
言葉の基本的効用をよく理解しておくことである。
といって、これらのことは一朝一夕には身につかない。
とりあえず、以下の三点に配慮することだ。
●相手が誰であれ、まずしっかり聞く
●目上には、肩書や力関係がどうあれ敬語を使う
●目下であっても丁寧語で話す
この三原則を守りつつ、言葉遣いの辞典的な本を一冊座右に置いて、少しでも疑問があったら調べること。
また先輩、後輩、同僚の言葉遣いを観察して、豊富な事例を頭に入れ、できる人の真似をすることだ。
真似の仕方は「要点だけを取り入れ、あとは自分なりに」というのではダメ。
言葉磨きというと、その方面のマュアル本を買ってきて学ぼうとする人が多いが、「見よう見まね」こそが、最高の学び方なのだ。
なぜか。
思い出してほしいのは、赤ん坊のとき、どうやって言葉を覚えたかということだ。
大人のしゃべる言葉の見よう見まね、しゃべる真似で覚えていったのではなかったか。
あの習得方法が最高なのである。
「布地は染め具合で、酒は香りで、花は匂いで、人は言葉遣いで判断される」(フランス の詩人ポール・ヴァレリー)
『「人間的魅力」のつくり方: 話す、聞く、背中で見せる……「できる人」の条件 (知的生きかた文庫)』
「言葉遣いで注意すべきことの第一は、無神経でがさつな言葉を使わないことである」(河盛好蔵・フランス文学者)
相手の言葉遣い一つで、気分がよくなったり、落ち込んだりしてしまう。
特に、人の気持ちを冷やすような無神経な言葉だ。
反対に、話していると気分がよくなり、元気が出てくる人がいる。
常にポジティブで明るいことを言い、年上や年下に関係なく丁寧な言葉をつかう人だ。
とりわけ、体育会系のマインドを持った人が、社会人になって何年たっても、後輩や年下の人の名前をパブリックな場で、呼び捨てにしているのはいただけない。
仲間内だけならいざしらず、ただ年下というだけで、それぞれが家庭も築き、あるていどの社会的なポジションも得ている人に対して、上下関係を持ち込むのは傍(はた)で聞いていても見苦しい。
そういう姿勢が、公的な場で失言として出てしまうのだ。
偉そうな言葉、女性蔑視(べっし)、上から目線…。
どんなときも、誰に対しても、丁寧な言葉を使う人でありたい。 |
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