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2018.2.3

ノーマン・カズンズの「笑い」


精神科医、斎藤茂太氏の心に響く言葉より…

前向きなオプティミスト(楽観主義者)は、病気にも、トラブルにも、ストレスにも強い。

前向きになって病気を治した代表的な人物に、アメリカのジャーナリストで、世界平和に対しても精力的に貢献してきたノーマン・カズンズがいる。

太平洋戦争後、来日した氏は、広島、長崎の原爆投下による惨状に心を痛めた。

そして、原爆で親をなくした原爆孤児たち400人の里親を見つけ、世話をしたりしている。

また、原爆によって顔などを負傷した25人の日本人女性をアメリカに招き、整形外科手術を受けさせている。

だが、カズンズはその後、重症の膠原病(こうげんびょう)に倒れてしまった。

回復の可能性は500分の1という難病である。

痛みで眠れない日もある厳しい病状だったが、氏は数分間、腹をかかえて笑うと1時間以上、痛みを忘れて眠ることができることに気がついた。

病院で一般的な治療を受けたあと、自分で考えた治療を実践するために、病院を退院した。

その治療法とは、「笑い」と「ビタミン」である。

ホテルに部屋をとると、ビタミン注射をし、喜劇俳優マルクス兄弟などの往年のコメディ映画を見て笑い、お笑いの本を読んで笑い、笑い漬けの生活を送った。

その結果、500分の1の奇跡が起こったのである。

大笑いは内臓を動かし、呼吸作用を盛んにする。

病気を笑い飛ばそうという前向きの姿勢が自己治癒力を後押ししたのだろう。

病気に勝ったのである。

ところで、氏は10歳のときに結核にかかり、療養所生活を送っている。

当時、結核は死病と考えられていたが、少年であった彼は、療養所では患者たちが「オプティミスト」と「リアリスト」に分けられることに気がついた。

「オプティミスト」たちはグループでいっしょに遊び、笑いあった。

「リアリスト」たちはグループ活動を嫌い、孤独で味気ない生活をしているように見えた。

結核が治って退院していくのは「オプティミスト」たちのほうだった。

そこで彼も退院するために、遊び仲間の一員として「オプティミスト」の患者の仲間になり、結核を克服した。

そういった経験から、人間には病気と闘う潜在的な力があり、肯定的な感情がその力を引きだし、治療効果を生むという信念をもったと述べている。

1980年には、外交交渉などで世界を飛びまわった過労から心筋梗塞(しんきんこうそく)を発病した。

このとき、医師は「状況そのものは回復不可能」と説明したが、回復不可能という言葉を聞いたとたん闘志が燃えあがったという。

このときも氏は、自分で考えた治療計画を半年間続け、回復してしまった。

具合が悪いとき、まずチェックすることは、この頃、笑ったことがあるか、楽しい生活を送っているかどうかである。

しばらく笑っていないと気づいたなら、健康が危機に瀕(ひん)しているかもと疑ったほうがいい。

そこをどう乗り切るかはおのずと明らかである。

かくいう私も、つねに笑いを忘れないようにしているつもりである。

ユーモアとは人生の薬味というよりも、人生そのものではないかとすら思っている。

『いい人生には「生き方のコツ」がある (だいわ文庫)』だいわ文庫


「パニック時の特効薬は笑いなんです。 危機管理を専門にしている連中は、洋の東西を問わずブラックユーモリストですよ。 とんでもないときに、みんなを笑わせる」

初代内閣安全保障室長をつとめた佐々淳行氏の言葉だ。

だれもがパニックになっているとき、ユーモアがあれば、ふっと我に返り、客観的になれる。

また、筑波大名誉教授、村上和雄氏の「笑いの効用」の科学的実験がある。

「私たちは糖尿病に着目しました。糖尿病の指標となる血糖値は、ほんの少しの血液で簡単に測定ができますし、明白な結果が出ます。実験は糖尿病患者に対して昼食後の40分間に、1日目は医学部教授による「糖尿病に関する講義」を聞いてもらい、2日目は落語を楽しんでもらい、終了後に採血をして血糖値を測定するというものです。講義は当然ながら真剣なもので、笑いはありません。吉本興業と共同で3回実験をして、3回とも漫才や落語を聞いた人のほうが血糖値の上昇が抑えられたという結果になりました」

そして、岡山県の医師・伊丹仁朗博士の実験によると、がん患者に寄席を見せ、その前後に採血をしたところ、がん細胞を殺すナチュラルキラー細胞が正常値より低めだった人は、観劇後に全て活性化していたという。

「笑い」は、パニックになった時も、病気に対しても有効だ。

どんなときもユーモアと笑いを忘れない人でありたい。


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