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2018.1.26

くやしさをバネに


曹洞宗の僧侶、板橋興宗氏の心に響く言葉より…

昔から、親に勧められて、力士や僧侶になった者で大成したものは少ない、といわれている。

親は、わが子が安全に暮らしてゆけそうな道を勧める。

力士や僧侶、あるいは芸術家などは将来成功するかどうか見当がつかない。

確実性のない職業には親は賛成したがらない。

その親の反対をも押し切ってやり抜く強固な意志がないと、ひとかどの人物にはなれないということであろう。

「艱難汝(かんなんなんじ)を玉(たま)にす」という格言は、困難や苦労を重ねることによって人は成長するという意味であるが、これは戦前に育った者なら耳にタコのできるほど聞かされた言葉である。

最近はいう人もいなくなったし、耳にすることもなくなった。

一代で大事業を成し遂げた人や、歴史に名を残すような宗教家や政治家は、家柄や学歴などとは関係のないところで自分を鍛え上げている。

春は入学のシーズンでもある。

目指す学校に入学した者は、急行券や特急券を手にいれた思いで胸をふくらませているであろう。

しかし、その切符が手に入ったばかりに、むしろ人生の型が決まり、案外平凡な人生航路をたどることになるかもしれない。

その反面、切符を手にすることのできなかった人の中には、くやしさをバネにして奮起し、すばらしい働きをする人もいるにちがいない。

空腹感をおぼえるハングリー精神こそ人間を強くする。

今や日本は世界一流の経済大国になった。

あの焼け野原から起き上がって営々と努力してきた結果である。

現代の若者たちは、その豊かさの中に生まれ、豊かさの中で成長している。

その豊かさが知らず知らずのうちに精神的な癌細胞を培養しているのではあるまいか。

『「心豊かに」生きる知恵―人生に失敗はない、愚痴があるだけ』産業能率大学出版部刊


「父は私たち子供がチョコレートを選ぶ際絶対に取替えを許さなかった。『お前はいま、掴んだじゃないか。文句を言うなら自分の手に言え』」(向田邦子「無名仮名人名簿」より)

人生は選択の連続だ。

右に行くのか左に行くのか、白をとるのか黒をとるのか、どんな物事も決定はつきつめると最後は二者択一。

そして、どんなに大枚をはたいて、貴重なアドバイスを受けたとしても、最後に決定するのは自分。

だから、文句を言うなら自分の手に言うしかない。

大事なことは、うまくいかなかったときの人としての態度だ。

人やまわりのせいにして、見苦しく、自分の責任を逃れるのか。

あるいは、そのくやしさをバネにして、歯を食いしばって、新たな挑戦をするのか。

「なにくそ負けてたまるか」という発憤(はっぷん)が、人をもう一段高いレベルに成長させる。

「文句があるなら自分の手に言え」という言葉を胸に刻みたい。


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