2018.1.6 |
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思い通りにならないことが運を呼ぶ |
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鍵山秀三郎氏の心に響く言葉より…
私は40年前の今ごろ、自転車の荷台に荷物を詰めるだけ積んで、ハンドルをとられながら、自転車で行商をしていました。
そのときは、何一つ自分の思い通りになることはありませんでした。
まず商品でも、自分の欲しい商品は一つも手に入らない。
本当はあの商品を売りたい、この商品があればというふうに思いましたが、そんな私が望むようなものは何一つ手にすることはできませんでした。
いずれもメーカーさんが売れなくて、倉庫の隅に埃(ほこり)をかぶって置いてあるようなものを譲り受けて、その商品を自転車に積んで売り歩きました。
しかも、私がかつて勤めていた会社の知り合いのところへ行くことはせず、まったく新しい、私のことを全然知らない人のところを訪ねて歩いたわけですから、最初に行ったところでは口もきいてくれませんでした。
こちらが挨拶をしても、横を向いて知らん顔をしている。
私が立っているということを知っていても、だれも相手にしてくれない。
どっちを向いても私は八方ふさがりという状況の中から仕事を始めました。
私が好むようなことは何一つできない。
だからこそ私は努力をしたわけです。
もし思い通りの商品が手に入って、行った先々で私のねらったように商品が売れていたら、私は努力をする必要はなかったわけです。
今から思うとつらいこともありましたが、本当にありがたかった。
そのおかげで、私のようにもともと意気地なしで能なしが、こうして世の中のだれにも迷惑をかけずに人生を送れるようになれました。
これは創業期からずっと長い間、思い通りにならないことばかりが続いたおかげだと思っています。
くどいようですが、もし思い通りになることばかり続いていれば、努力なんかまったくしないで、のうのうと人生を送っていたと思います。
現に、そういう人生を送っていた人たちは、みんないずれも私の目の前から姿を消していきました。
私よりはるかに先輩で、なおかつ商売も上手で、会社をどんどん大きくしていった方々がいずれも姿を消していったことを見ても、私が申し上げていることは、絶対に嘘偽りではないと信じていただきたいと思います。
どうか不都合なこと、嫌なことは自分を鍛える最大の味方であるというふうに思って、それに取り組んでいただきたいと思います。
『小さな実践の一歩から (活学叢書)』
ダスキンの創業者、鈴木清一氏は、こう語った。
「損と得とあらば損の道をゆくこと」
「損の道」とは、嫌なことや面倒なこと、つらいこと、効率の悪いことなど。
その「損の道」が自分を鍛えてくれる。
しかし、反対に「得の道」を行けば、楽をして努力をしなくなる。
楽なことに慣れきってしまった人は、ひとたび環境が厳しくなったら生きてゆけない。
「楽は苦の種、苦は楽の種」
思い通りにならないことが運を呼ぶ。 |
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