2017.12.13 |
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驚くことの達人 |
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A・マクギニス氏の心に響く言葉より…
デビット・ソークは地元大学の学生部長を引退し、今は年間1000枚以上を撮影する写真家である。
以前私は彼にこう聞いたことがある。
「どうしていつもカメラをもち歩いているのですか?
何か珍しいシャッターチャンスをものにして、それを出版社に高い値で売りつけようというわけですか?」
「いやいや、とんでもない」と彼は答えてこうつけ加えた。
「ものがもっとよく見えるように写真をとるんですよ。
注意深さが足りないと怠慢になって、家の桃の木の新しい花びらにも気がつかなくなるでしょうし、中庭をうろついているトカゲの不思議な色も見落としてしまうでしょう。
カメラを持ち歩くおかげで観察力を維持できるんですよ」
私の妻は「感嘆術」のエキスパートだ。
結婚する以前、私は一度として朝のコーヒーを楽しんだという記憶がなかった。
朝のコーヒーは私にとって単なる目覚まし代わりにすぎなかった。
そしてダイアンに出会った。
彼女は朝3回のうち2回は両手でカップをささげもち、ふくいくたる香りを胸いっぱいに吸い込んでは感激して叫ぶのだ。
「ああ、なんていい香りでしょう。
目覚めの一杯のコーヒーは最高ね!」
積極人間は自分に起こった物事すべてが、毎日毎日よくなっていくとは言わない。
また、人生最悪の日はもう二度と訪れないとも言わない。
いったい、明日がどんな一日になるのか…誰にだってそんなことはわかりっこないのである。
われわれが知っていること…それは、この世の中は欠点だらけであっても、味わったり楽しんだりできる素晴らしい物事にあふれたたいした世界なのだ、ということである。
パブロ・カザルスの一言で締めくくることにしよう。
「感動したり愛したりしているうちは、人は決して年をとることがない」
『今できることから始めよ! (知的生きかた文庫)』
一緒にいて楽しい人は、ちょっとしたできごとにも、喜びの声を発して、感嘆する人。
反対に一緒にいてつまらない人は、何かプレゼントをしても、驚きもしなければ、何の反応もない人。
どちらが一緒にいたい人かは言うまでもない。
国木田独歩は、「自分の生涯の願いは驚きたいということだ」と言う。『牛肉と馬鈴薯』より
それを、安岡正篤師は、
「感動したり感激するには心を柔らかくすることです。
問題意識の深さと感受性の高さが心を柔軟にします。
そして、この一点で人は振り分けられます」『安岡正篤 運命を思いどおりに変える言葉』より
と述べた。
心が柔軟で瑞々(みずみず)しくなければ、驚くことや感動することはできない。
心を柔らかくして「驚くことの達人」になりたい。 |
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