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2017.10.28

これから生きていこうとする若者たちへ

塩野七生氏の心に響く言葉より…

多くのことに好奇心をもつのは自分を豊かにすることになるだけでなく、独創の出発点であると思ってください。

ところが、自分の気の合う人たちだけとか、自分が好きなことだけしかしないとか、そういうことを言う人がいますね。

こんなことは、あなた方の若さで言わないでください。

そういうことが言える、言ってもいい年齢というのは、まあ、70歳以上です。

70までの蓄積がありますから、それで適当に楽しむことができますからね。

でも、15歳とか20歳で「いえ、ぼくはもうこれしか関心がありません」などと言うのは、無刺激、無菌の状態を作ってしまうことになります。

蓄積のない、何もない状態のままで行こうというわけですからね。

そんなふうに行くと、ちょっと強力な菌が来た時に、まったく抵抗力なくやられてしまいます。

だいいち、そんな生き方、そんな人生は面白くないですよ。

では、刺激に免疫をつける生き方とはどういうものかと言うと、やっぱり、いろいろなことをやってみることだと思います。

自分に合わないこともたくさんあるし、傷つくこともたくさんあります。

でも、傷つかないままで行くと、一度傷つくとたいへんな騒ぎになります。

だから、時々は傷ついたほうがいいんです。

抵抗力を養うためにも。

そのためには、自分を開放するほうがいいと思います。

読者の方々をみていると、「あっ、この人は上に行ったら伸びそうだな」とか、「だめだな」というのがわかるんです。

これには二つの特徴のようなものがあるんです。

まず、好奇心が強いかどうかということです。

好奇心というのは、言い換えれば、自分の殻を被(かぶ)って他を拒絶するのではなく、自分を開放していくことです。

そういう開放的な人って、これから伸びていく可能性があると思います。

それと、もうひとつは、大胆であるということです。

大胆なこととはあまり恐れないこと、傷を恐れないということです。

若い人にしか許されない特権ですから、やっぱり若い人はこれを活用なさるのがいいと思います。

いま、日本の中高年は、大胆になれと言われているのに一向になれなくて、あたふたしています。

これは若い時から訓練を積んでいないからなんです。

そういう人たちが、そのまま何ごともなく戦後50年をやってきて、それが今、突然、自分たちで決めなくてはいけないという事態にぶつかったんです。

しかし、情報の集め方も知らなければ、選択肢はひとつに絞ることの他はまったくできない。

これまでとはまったく違う事態に直面させられて、どうすればいいのか、決定することができない。

これから生きていこうとしてるあなた方には、やはり、開放的で大胆であることを身につけていただいて、今の大人たちとは違った臨機応変なフットワークを身につけて欲しいと思います。

『生き方の演習 ―若者たちへ―』朝日出版社


「大胆、不用意」

行徳哲男師の言葉だ。

先の見えない不確実な時代は、どんなに準備をしたり、用意をしたところで、うまくいかなときはいかない。

特に、昨日と今日の景色がまったく変わってしまうような、大きな変化があったときはなおさらだ。

それは、大きな自然災害であったり、時代の大変革であったりする。

大胆になることは、ある種の開き直りが必要だ。

どうなってもかまわない、いつかは死ぬのだから、という肚のくくり方だ。

年を重ねるにしたがって、この大胆になる勇気がなくなってしまう。

好奇心がなくなり、守る姿勢に入ってしまうからだ。

そしてその時は、未来も失う。

自分を開放できる人は、バカになれる人。

傷つくことを恐れない人。

だから、大胆になれる。

いくつになっても、好奇心を持ち、大胆であり続けたい。



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