2017.10.6 |
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経済政策は何のために行うのか |
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嘉悦大学教授、高橋洋一氏の心に響く言葉より…
経済政策は何のために行うのか。
それは一言で言えば、「失業率を減らし雇用を確保する」ためである。
さらに欲を言えば、第二段階として所得が増えることであるが、まず何よりも雇用の確保が最大の眼目である。
人によっては、社会保障を充実させるためとか、財政再建をするためと考える人がいるかもしれないが、それは付随的な要素であり、最大の眼目ではない。
なぜ、失業率を減らし雇用を確保することが最重要なのか。
それは、人間は仕事がなければ不安にかられ、生きがいを喪失する。
そうなると、人間集団として社会不安が増大し、例えば犯罪が増加する、あるいは不安を紛わすためにアルコール依存症の患者が増える、自殺者が殖えるなどの「負の連鎖」が発生する。
犯罪を防止するために、警察官を増員する、あるいは依存症患者の更生施設を大量に作るなど、社会全体で不安解消のためのマイナスコストが増大し、成長に向けるべき原資が少なくなる。
そして、ますます社会が沈滞し失業者が増え、景気が悪化するという悪循環に陥る。
人間は、仕事があってこそ精神が安定・充足し、次の成長・発展に向けてのアイデアも出てくる。
すると、社会が活発化し景気もよくなり、未来への投資も行われる好循環の軌道に入れる。
最近の失業率(失業者÷労働力人口)を見てみよう。
2017(平成29)年の2月以降、バブル景気時の2%台前半に近い3%弱程度で推移している。
失業率の年平均の推移は、バブル崩壊後の2002(平成14)年も5.4%と過去最悪になり、またリーマン・ショックの影響で雇用情勢が悪化した2009(平成21)年も5.1%を記録していたが、以後、景気回復とともに低下傾向が続いている。
2012年は4.3%、2013年は4.0%、2014年は3.6%、2015年は3.4%、2016年は3.1%という推移だ。
一方、有効求人倍率(求人数÷求職者数わ、除く学卒)は、2017年6月には1.51倍と、1974(昭和49)年2月の1.53倍以来、43年4か月ぶりの高水準を記録している。
これは年平均の推移を見ると、実数ベースで2012年は0.80倍、2013年は0.93倍、2014年は1.09倍、2015年は1.20倍、2016年は1.36倍と良化している。
2012(平成24)年12月に始まったアベノミクス景気は、バブル期を超えて戦後3番目の長さになった。
この好景気を背景として、上述のように雇用情勢は着実に良化している。
経済政策の最大の眼目が、失業率を減らし雇用を確保することにあるので、安倍政権の経済政策は、好き嫌いは別として間違いなく及第点である。
アベノミクスによって、日本は失われた20年からようやく脱出しようとしている。
あと一歩の金融緩和をすれば、人手不足感がいっそう強まり、賃金上昇の動きがさらに高まる。
そうなれば、物価はそれを追うように上がっていく。
つまり、経済政策の第2の眼目である所得が高くなる。
そのためには、財政出動も肝心だ。
今の日本の財政状況は、すでに危機を脱している。
ここは積極財政の出番である。
こうして日本経済は再び、希望の未来図を描くことができるようになる。
『日本を救う最強の経済論』育鵬社
人が余っていて、就職先もない、失業率は最悪、という状況で、「景気がよい」ということはない。
特に、若者(15〜24才)の失業率が高いと、未来に夢が持てなくなり、治安も悪化する。
ボスニア・ヘルツェゴビナとか、ギリシャや、コソボ、スペインなどだ。
これらの国ではいずれも、若者の失業率は50%を超えている。
人は、誰かに必要とされていると感じた時に、最高の幸せを感じる。
その多くは、仕事によって得られる。
失業率が減り続けている日本…
その幸せを大切にしたい。 |
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