2017.6.29 |
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ほほ笑みを探して分け合う |
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ジャック・キャンフィールド氏の心に響く言葉より…
いつもどおりの水曜日だった。
高齢者のホームで、私は家内と雑談していた。
先日、私たちは心臓発作に見舞われたのだが、幸い順調に回復していた。
そこへ仲間のミリアムがやって来た。
「ちょっとお邪魔してもいいかしら?
私ね、幸せになるには3つのことが必要だと思ってきたのよ。
まず、愛する相手がいること。
それに、することがあること。
そして、楽しみにして待つものがあること。
私はこのホームの人たちが大好きだし、いろんな活動のおかげですることもたくさんあるのよ。
でも、楽しみにして待つものがないの。
何かいいアイデアはないかしらね」
「ここに来るまえは、どんなことが好きだったの?」と私たちは聞いた。
「みんなと笑うことよ」とミリアム。
「どんなことを笑ったの?」
「なんでもよ。目にするもの、聞くもの、感じるもの、味、匂い」。
彼女はほほ笑みながら言った。
その瞬間、私たちのプロジェクトは決まった。
楽しみに待つのは“笑い”に決め、それを生むために私たちの五感を総動員することにした。
まず、ポスターを作って貼り出した。
「人生は、マジになるには大事すぎる」
服のボタンにこんなことも書いた。
「人生を楽しめ。これはドレスリハーサルじゃない」。
ティーバッグにはこんなひと言。
「あなたはこのティーバッグ…熱湯のなかでこそ強さがわかる」
ユーモアいっぱいの漫画、ビデオ、オーディオカセットはもちろん、周囲の人たちの協力のおかげで、シール、イラスト、本、ゲーム、雑誌も集めることができた。
私たちは“ユーモア・バスケット”というカゴを作り、そこに集めた本やテープ、グリーティングカード、子ども用のおもちゃなどを入れた。
ダントツ人気は動物のぬいぐるみ。
ついで色とりどりのスリンキーにゴムのひもがビラビラ下がったクッシュボール。
シャボン玉も入れた。
もちろん、肝心のミリアムのためにもこのバスケットを作った。
バスケットを贈られた彼女のいちばんの楽しみは、カゴの中身をホームの仲間や訪問客、そして出会った人たちに分けることだった。
彼女のしたことは、ほほ笑みを探して人に分けることだと言う人もいた。
これが私たちのプロジェクト名となった。
「ほほ笑みを探して分け合う会」である。
この計画は大成功で、評判を聞きつけたほかの施設からも依頼があった。
“ユーモア・カート”を作ってほしいと頼まれたこともある。
スーパーマーケットにあるショッピング・カートのユーモア版である。
ボランティアはこのカートを押して廊下を行き来しながら、笑顔や笑いを入居者と分かち合うのだ。
さらに、あるホームは、娯楽ビデオを完備したユーモア室を考案してほしいと依頼してきた。
私たちの呼びかけで、入居者の家族が、スポーツ好プレー・珍プレー特集、どっきりカメラ、キャロル・バーネットやジョニー・カールソンのトークショーなどを録画した、お気に入りのビデオを寄贈してくれた。
一人の老婦人の力になろうとして始めた素朴な行為が、一生をかけてやるプロジェクトに変貌した。
ミリアムは最後のごほうびである永遠の眠りについたが、最後に見かけたとき、彼女の部屋のドアにはこんな看板がかかっていた。
「自分のことを笑える女性は幸せだ。最期まで面白がっていられる」
《ジョン・マーフィ》
『こころのチキンスープ〈7〉―夢中になれるものありますか?』ダイヤモンド社
「あなたが生まれたとき、 あなたは泣いていて周りの人達は笑っていたでしょう。
だから、 いつかあなたが死ぬとき、 あなたが笑っていて周りの人たちが泣いている。
そんな人生を送りなさい」
ネイティブアメリカンに伝わる言葉だ。
「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのである」
という有名な言葉がある。
それは、同様に、
「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しくなるのである」
と、いうことでもある。
笑いには、病気も治す力があるという。
笑えば、自分もまわりも楽しくなり、そして、明るくなる。
笑いは伝染する。
ほほ笑みを探して分け合う毎日をおくりたい。 |
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