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2017.6.23

若い人を先生にする


石川洋氏の心に響く言葉より…

新潟の岩船郡に木村霊山という、100歳になる尼さんがいらっしゃいまして、その尼さんに会いたくて、2、3回お訪ねをしたことがございました。

日本のマザー・テレサと言われた方で、100名以上の孤児をお育てになった方です。

新潟の山奥は、昔は貧しいところで、やはり子どもの育てられない親があります。

そういう人が、木村霊山の名前を聞いて、お世話をしていただけますか、預かってくれますかって、連れてくるんです。

新潟では尼さんを「あんちゃま」と言います。

「ああ、あんちゃま、100名以上の孤児を育てて大変だったでしょう」

って言ったら、

「なんでもないさ」

って言いました。

最初、お会いしたときには「なんでもないさ」って言葉が引っかかっていて、2度目にお会いしたときに同じことを訊いたんです。

「100名以上の孤児をお育てになって、大変だったでしょう」

「なんでもないと思ったら、なんでもないさ」

と、そのときにつけ加えてくださいました。

なんでもないと思ったら、なんでもない。

この人は師匠運の悪い方で、自分がついた師匠がほどなく亡くなってしまいまして、お師匠さんと早く別れた方です。

お師匠さんの死に水を取ると言いますか、一所懸命にお世話をなさり、そのお師匠さんが亡くなるときに「ありがとう」と言って「よう世話をしてくれたな。短いあなたとのつながりだけども。きっとこのご縁は返すよ。これから、あんたのそばに必ず生まれ変わってくる」と言ってくださったそうです。

だから彼女は、100名の孤児は、お師匠さんの生まれ変わりだと思っている。

そして、一番弟子の尼さんに、お師匠さんの出家名である「霊秀」の名を付けて、「霊秀、霊秀」と言って、若いお弟子さんを、自分のお師匠さんの生まれ変わりとして仕えてらっしゃるんです。

今、私は、もういつ死んでもおかしくない年ではございますけれども、自分にできることは、若い人を先生にするということであります。

自分よりも先に行く人を残そう。

木村霊山が自分の弟子に、自分の先生の名前を付けて、自分の弟子を育て、仕えたように。

『やるなら決めよ 決めたら迷うな』勉誠出版


人は、何千回、何万回と生まれ変わるという、輪廻の考え方がある。

ある時は自分の親だった人が、自分の子どもになったり、親友になったりということもあるという。

そして、その時代、ご縁のあったグループで何度も生まれ変わる。

苦手な人、やっかいな人、面倒をかける人、お世話している人…

その人たちが、過去、自分の師匠だったり、恩人だったり、親だったり、と思うことができるなら、「その人に仕える」という気持ちが生まれるかもしれない。

「恩送り(おんおくり)」という言葉がある。

誰かに受けた恩を、その人に直接に返すのではなく、別の人に送って(返して)いくことだ。

「若い人を先生にする」

恩送りの気持ちを忘れない人でありたい。


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