2017.5.18 |
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エンパワーメントとは |
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ケン・ブランチャード氏の心に響く言葉より…
ビジネスの世界において、エンパワーメントほど広く受け入れられながら、それでいて思うように進んでいかないものはありません。
エンパワーメントとは、自律した社員が自らの力で仕事を進めていける環境をつくろうとする取り組みです。
社員のなかで眠っている能力を引き出し、最大限に活用することをめざしています。
複雑さとダイナミックさが増す世界で生き残ろうとする組織にとって、避けて通れない課題と言えるでしょう。
エンパワーされた社員は、組織と自分自身の両方に利益をもたらします。
仕事にも生活にも強い目的意識をもって取り組み、会社の仕組みや業務の進め方を改善し続ける原動力となります。
エンパワーメントが実現すれば、社員は最善のアイデアを生み、最高の仕事をするようになります。
熱意をもって、自分のこととして、そして誇りをもって仕事に取組みます。
会社の利益と自らの目標を高いレベルで融合させ、責任をもって行動するようになるのです。
上司が管理し、部下は管理される、という伝統的なマネジメント・モデルは、もはや効力を失っています。
エンパワーされた職場をつくろうとする経営者は、社員を駒のように使う指揮命令的発想から、全社員が自らの責任感に導かれて最善を尽くせるような支援的発想に頭を切り替えなくてはなりません。
エンパワーメント重視の経営へと舵を切りたければ、組織というものについての認識を大胆に変えなくてはなりません。
経営者も社員も、杓子定規な階層意識を捨て、エンパワーされることを学ぶ必要があります。
しかし残念ながら、ビジネスリーダーの多くは、人間がもともともっている力を引き出すのがエンパワーメントだということを理解しておらず、エンパワーメントを実現させる道筋も知らないようです。
『社員の力で最高のチームをつくる―――〈新版〉1分間エンパワーメント』ダイヤモンド社
星野リゾートの星野佳路氏は、経営者人生で最も影響受けたのがこの本だという。
星野氏は同書の前書きでこう語る。
「私が家業の温泉旅館を継いだ1990年代、低い社員モチベーション、高い離職率、そして採用難という組織の課題に直面していた。
社員のモチベーションを高めるには、給与水準などの職場環境だけでは十分でないことはわかっていた。
会社の将来像の共有、仕事の自由度、そして会社生活の楽しさのほうが大切ということも知識として知っていた。
しかし、そこにたどりつく方法や手順がわからなかったのだ。
本書が、エンパワーメントの方法論を具体的に示していたことを発見した私は、渡りに船とばかりに実際にやってみることにした。
エンパワーメントには、次の3つの鍵が必要になる。
【第1の鍵】 正確な情報を全社員と共有する
【第2の鍵】 境界線を明確にして自律的な働き方を促す
【第3の鍵】 階層組織をセルフマネジメント・チームで置き換える
エンパワーメントを成功させるためのコツは、書かれている内容を一言一句、そのまま実践することだ。
つい導入しやすいところだけを試してみて、部分的にしか行わないことが多い。
しかし、これでは成果を上げることはできない。
私たちが始めたときも、すぐに成果が得られる感覚はなかった。
それでも、内容を信じて継続していくと、それはフラットな組織文化として定着し、結果として社員が自発的に動くようになっていった。
星野リゾートが目指しているのは顧客満足と利益を両立させることができる独自のホテル運営手法だ。
今では多くのエンパワーされた社員たちが、この目標に向かって日々行動し、会社の仕組みを進化され、それが全体として業績向上に結びついている」
エリック・バーンは、交流分析(心理学)のゴールは、「自律した人間」をつくることだという。
自律した人間とは、自己理解と気づきがあること。
同時に、親密さや自発性があることだという。
これは、組織においてもまったく同じことが言える。
社員やスタッフのすべてが自律していれば、組織は活性化し、勝手に進化していく。
エンパワーメントの力は偉大だ。 |
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